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訪問看護のオンコール手当はいくらが妥当?回数の目安と負担を減らす体制づくり

訪問看護のオンコール手当はいくらが妥当?回数の目安と負担を減らす体制づくり

夜中の2時に携帯が鳴る。利用者さんの家に向かい、戻って横になったところでまた鳴る。訪問看護のオンコールは、持ったことのある人にしかわからない重さがあります。私自身、訪問看護ステーションを運営していたころは、月に20日以上、ほぼ3分の2を自分で持っていた時期がありました。訪問看護の経営支援を行ってきた株式会社UPDATEの立場から、オンコール手当をいくらにするか、1人に何回まで持ってもらうか、そして手当以外に何をすべきかをお伝えします。

著者名

執筆者

株式会社UPDATE 小瀨 文彰

株式会社UPDATE 代表取締役(看護師・保健師・MBA) ケアプロ訪問看護ステーション東京にて新卒訪問看護師としてキャリアスタート。その後、訪問看護の現場・マネジメント経験の他、薬局や訪問看護運営するスタートアップ企業で40拠点・年商65億規模の経営を行い、上場企業へのグループインを実現。現在は医療職マネジメント人財を育成するためマネジメントスクールを運営中。

■経歴
2013年 慶應義塾大学 看護医療学部 卒業
2013年 ケアプロ株式会社入社
2019年 株式会社UPDATE(旧:ヘルスケア共創パートナー株式会社) 創業 代表取締役(現職)
2021年 GOOD AID株式会社 取締役(事業譲渡により退任)
2023年 セルフケア薬局 取締役(吸収合併により退任)
2023年 まちほけ株式会社 代表取締役(事業譲渡により退任)

■得意領域
医療系事業の組織マネジメント
教育体制構築
採用戦略・体制構築
教育体制構築
新卒訪問看護師の育成
管理職の育成

■保有資格・学位
看護師
保健師
経営学修士(MBA)

気づけば管理者が月20日以上持っている

小さな事業所では、スタッフに持たせると負担で辞めてしまうかもしれないからと、管理者さんがほぼ全部を抱えているケースがよくあります。管理者が20日以上を持ち、残りの10日ほどを数人で回して、スタッフは月2〜3回で済むようにしている。そんな話もよく聞きます。

偏りが生まれる理由は、人手不足だけではありません。入職してすぐの人に「オンコールを持ってください」とはいきませんし、小さいお子さんがいる方や親御さんの介護をしている方は、夜間の当番を持てないこともあります。うちの事業所もそうでした。持てる人と持てない人の差がある以上、一部の人にオンコールが偏るのは、どこの事業所でも抱えている課題だと思います。

だからこそ、その負担をどう還元するかを考える必要があります。

訪問看護の経営支援

経営の話を、ひとりで抱えていませんか

収支も採用も育成も、判断するのは結局いつも自分ひとり。相談できる相手がいない。UPDATEにいただくご相談で、いちばん多いのがこの状態です。月1〜2回のマネジメント会議を事業所に根づかせ、ひとりで抱える経営から、チームで動かす経営へ変えていきます。

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オンコール手当の相場は1回1,000〜3,000円

私が運営していたときは、規模によって差をつけつつ、1回1,000円から3,000円の幅で考えていました。規模が大きくなると5,000円くらいまで上げます。1番携帯と2番携帯に分かれる規模なら、1番携帯が3,000円、2番携帯が1,000円というように差をつけていました。

オンコール手当がまったくない事業所はあまり聞きません。ただ、低いところだと1回500円という話も耳にします。地域差はあるにせよ、500円だと持っても持たなくてもほとんど差が出ません。正直、お小遣いくらいですよね。何回か持ったら月の給与が1万円、2万円と変わる。そのくらいの金額にしておくと、やったことへの還元として本人に伝わります。私は3,000円前後を基本にして、規模が大きく呼ばれる回数も多い事業所ほど高くするのがいいと考えていました。人材定着まで含めた経営全体の考え方は、訪問看護の経営完全ガイドでも整理しています。

待機の手当と、出動した分は分けて払う

私は、携帯を持つ当番に対する手当と、実際に出動して働いた分とを分けて払っていました。社労士ではないので断定はできませんが、労働基準法の考え方からしても、待機と実際の勤務は分けて扱う必要があるはずです。細かいところは社労士さんに確認してください。夜間の勤務時間の扱いは、訪問看護での労務管理でも触れています。

オンコール手当は、携帯を持つことそのものへの対価だと私は考えています。いつ呼ばれるかわからない。すぐ出られる場所にいなければいけない。お酒が好きな人ならわかると思いますが、飲めません。何より、いつ鳴るのかとドキドキしながら一晩を過ごすことになります。

一方で出動したら、それは夜の時間帯の勤務です。実際に働いた時間に対して、深夜の割増をつけて払う。ここを分けずに固定額だけにしていると、鳴る夜ほど割に合わなくなります。

私が経験した一番多い夜は、一晩で3〜4回呼ばれました。18時に仕事を終えて、寝る前あたりから電話が鳴り始める。行って戻ったら0時ごろにまた呼ばれ、3時ごろにも、明け方5時ごろにも呼ばれる。もう夜勤と変わりません。さすがに翌日は休みにしてもらいましたが、代わりを立てられる規模でなければ、そのまま翌日も勤務することになります。ターミナルの方を積極的に受け入れている事業所では、時期によって呼ばれる回数が一気に増えます。看取りの時期のケアと算定についてはターミナルケア加算・療養費の解説にまとめました。

1人あたりの回数は、週2回を目安にする

理想を言えば、1人週1回です。ただこれは、オンコールを持てるスタッフが7人いる前提の話になります。持てない人もいることを考えると、スタッフが12〜13人いる規模でようやく成り立つ計算です。全国平均ではスタッフは5人ほどと言われていますから、多くの事業所には現実的ではありません。

私自身は管理者を兼務していたので回数はもっと多かったのですが、週2回くらいなら、家庭の事情とのやりくりも含めて回せる人が多いと思います。3〜4人で回せば週2回、月8回ほど。必ず鳴るわけでもありません。週3回、4回になると、若くて稼ぎたいスタッフならまだしも、そうでなければ生活とのバランスが取れなくなってきます。

実際、週3〜4回の状態が続くと、「今の事業所が嫌なわけではないけれど、家庭との両立がきつい」という相談をもらう頻度が増えていきました。立ち上げ期に「規模が大きくなるまではみんなで頑張ろう」と踏ん張れる期間はあります。ただ、その状態が長く続き、しかもそれなりに鳴るとなると、人材はなかなか定着しません。

手当を上げても、オンコールの不満は収まらない

オンコールへの不満が出たとき、「大変だよね、ごめんね、金額を上げるからみんなで頑張ろう」と手当を上げる。選択肢としてはあると思います。でも、これで不満は収まりません。

スタッフがつらいのは、金額への納得感よりも緊張感のほうです。夜、いつ呼ばれるかわからない。しかも緊急で鳴るということは、利用者さんの状態が急変しているかもしれない。その緊張をずっと持ち続けるのがきついんです。頑張っている分お金をもらえていると思えば、もう少し頑張れるかもしれません。それでも根本の解決にはなりません。

規模が大きくなって鳴る回数も頻度も増えたから、正当な評価として上げる。これはいいと思います。けれど、辞めさせないための対策として上げると後手に回り、あまりうまくいきません。人が辞めていく理由はお金だけではないので、訪問看護の離職原因と定着の戦略もあわせて見てみてください。

鳴る回数を減らし、ひとりで判断させない

手当より先に手をつけたいのは、呼ばれる回数そのものを減らすことです。夜に鳴らないように日中の訪問でケアしておく。鳴っても出動せずに対応できるよう、準備しておく。ここをみんなで見直していきます。このとき、スタッフに「改善してください」とだけ言うと火に油です。管理者も一緒に考える形にしてください。

すぐにできることがなくても、夜の緊張感をきちんとねぎらう。次にいつ人が入るのか、見通しをできる限り示す。それだけでも受け止め方は変わります。

もうひとつ大きいのが、ひとりで抱えさせないことです。夜間に判断まで含めて全部ひとりで背負うのが、一番不安で緊張が高まります。規模が大きくなると、1番携帯がつながらなければ2番へ、と利用者さんに案内している事業所もあると思います。それだけでなく、スタッフが判断に迷ったときに相談できる相手を決めておく。多くの事業所では管理者さんが「いつでもかけてね」と引き受けていますが、それで回らないなら、他のスタッフに手当を出して2番携帯を持ってもらい、出動はしないけれど相談役を担ってもらう方法もあります。

もちろん、採用して、しっかり教育して、定着してもらい、対応できる人を増やすことも欠かせません。30日を何人で割るのか、という話だからです。手当の金額、鳴る回数、バックアップ体制、人員。オンコールの負担は、全部をあわせて減らしていくものだと考えています。

重症者の受け入れを減らせば解決するのか

少し前に、「スタッフの負担を減らすために重症者の受け入れを減らしました」という事業所の投稿がXで炎上していました。それは本末転倒ではないか、何のために訪問看護をやっているのか、と私も思います。

もちろん、きれいごとだけではうまくいきません。すでに末期の方が多いところに、さらに受け入れるのは今は難しい。そういう判断が必要な場面は現実にあります。それでも、「受け入れを減らしましょう」と事業所の方針として声高に打ち出せば、真剣に向き合っているスタッフほど「そんな事業所なら辞める」となるはずです。受け入れを絞る以外のところで、打ち手を打っていきたいところです。

何ができるかは、組織の体制や利用者さんの属性によって変わります。一概にこうすればいいとは言えません。現場を直接見てみないとわかりませんが、たとえば「今の手当は少なすぎるので、もう少し還元しても採算は合いますよ」という話ができることもあります。オンコールが原因で人が定着しない、管理者に負担が寄りすぎている。そんな悩みがあれば、マネジメント・コーチの無料相談で一緒に整理させてください。この内容は動画でもお話ししています。【動画】訪問看護のオンコール、理想の回数や手当額はどのくらい?から視聴できます。


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