訪問看護のコミュニケーションを円滑にする思考法【後編】「論点」を合わせ「相手視点」で伝えることの重要性

訪問看護のマネジメントをするうえで、コミュニケーションの問題に悩まされていませんか?
「議論が進まず課題解決ができない」「信頼関係をうまく築けずスタッフが辞めてしまう」などの悩みを抱えている管理者は少なくないでしょう。
コミュニケーションの問題を放置してしまうと、スタッフが辞めてしまう・批判し合う文化が定着してしまうなど、組織全体がよくない方向に傾いてしまう恐れがあります。そのため問題に対し、速やかに対処することが重要です。
この記事では、訪問看護におけるコミュニケーションを円滑にするための思考法について詳しく解説します。
ぜひ最後までご一読いただき、現場での問題を解決するための一助となれば幸いです。

目次
訪問看護事業所におけるコミュニケーションの問題と解決策

訪問看護ステーションを運営するなかで、管理者・経営者は以下のような悩みを抱えているかもしれません。
- メンバーに伝えたつもりが、正しく理解されず誤解が多い
- 漠然としたまま議論が進まず、なかなか課題解決できない
- スタッフ同士の意見がぶつかり、関係が不健全な形で悪化してしまう
このような問題を抱え、訪問看護業務とは関係のないところで疲弊してしまうこともあるでしょう。
ここでは、訪問看護事業所におけるコミュニケーション問題を放置するリスクと解決のための思考法について解説します。
組織全体を蝕む悪い癖が定着する前に
事業所におけるコミュニケーションの問題を放置すると、組織全体によくない癖が定着してしまう可能性があります。具体的には以下のようなことが考えられるでしょう。
- 管理者・組織への信頼がなくなっていく
- スタッフ間の不仲が、業務に悪影響を及ぼす
- 意見の異なるメンバーを敵対視し、批判する癖がつく
その結果、帰属意識の低下・他責思考・意思疎通の敬遠など、組織全体を蝕む悪い癖が定着する恐れがあります。このような事態を防ぐためには、コミュニケーションの問題に迅速に対処することが重要です。
コミュニケーション問題の原因は双方にある
コミュニケーションにおける問題が発生したとき、会話をしている双方に原因があることが多く、どちらか一方だけにあるとは限りません。相手を批判的に捉えるのではなく、自分の伝え方・聞き方を振り返る必要があるでしょう。
マネージャーは組織の目標達成に向け、各メンバーが伝える力・聞く力を高められるよう促し、スタッフ間のコミュニケーションを活性化する責任があります。
コミュニケーションを円滑にするための4つの思考法
コミュニケーションを円滑にするための思考法として、以下の4つが挙げられます。
①『話すべきこと』の認識を合わせる
②『隠れた前提』に気づく
③見ている『論点』を合わせる
④『相手視点』に立って伝える
訪問看護管理者は、これらの思考法をチーム全体に浸透させることで、組織のコミュニケーション力が向上するでしょう。
この記事では、③と④の思考法について詳しく解説します。
①と②の思考法については、訪問看護のコミュニケーション円滑にする思考法【前編】話すべきこと・前提の認識を合わせる重要性 にて解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
訪問看護における円滑なコミュニケーション思考③『論点』を合わせる

話し合いをするなかで、考えるべき『論点』を網羅できているか確認することも、円滑なコミュニケーションにおいて重要です。
話すべきことが決まっていたとしても、人によって論点がズレていたり、複数ある論点のうちの一つしか語られなかったりすると、納得のいく話し合いができない可能性があります。また、誤った結論へと導かれてしまうかもしれません。
そのため話すべき議題に対し、考えるべきことを全て洗い出してから議論を行うと、より建設的で充実した話し合いができるでしょう。
『論点』とは議論するにあたり「確認・検討すべきこと」
『論点』とは、話し合ううえで「確認・検討すべきこと」を指します。
『論点』という言い方にはやや堅い印象があるため、組織に馴染むような言葉に言い換えると浸透しやすい場合もあります。例えば、『論点』ではなく、議論するにあたって「考えるべきこと」と言い換えるのもよいでしょう。
『論点』を洗い出すポイント
話し合うメンバーそれぞれの考え方の癖や、表面的に見えているものによって、『論点』がズレてしまう可能性があります。また自分が出したい結論によって『論点』が偏ることもあるでしょう。
そこで、『論点』を洗い出すためのポイントを個人レベル・対話レベルでの考え方に分けて解説します。
個人レベルでの考え方
話すべきことに対し、『論点』を全て洗い出せているかをそれぞれのメンバーが考えることが重要です。具体的には、
- 今考えていることだけで、結論を言い切れるか?
- あえて反対意見を言うとしたら、どのような論点があるか?
- 相手の立場だったら、何が気になるか?
これらについて、まずは個人レベルで振り返る習慣をつけるとよいでしょう。
対話レベルでの考え方
続いて、対話レベルでの考え方のポイントを紹介します。対話においては、結論を急がず、『論点』や選択肢を広げて考える時間・結論を検討する時間を分けて設けることが重要です。
議論をするなかで、メンバー間の主張がぶつかると、個人の主張が強くなる傾向にあります。それぞれの望む結論に向かってメリットやデメリットを主張してしまったり、自分の意見をより強く主張してしまったりするなど『論点』の偏りが生じ、建設的な議論へと結びつかない恐れがあります。
よって、以下のような順序で『論点』を導き出すとよいでしょう。
- 選択肢やメリット・デメリットを洗い出すためだけのステップを作る
- 洗い出した意見から、『論点』を絞り込む時間を設ける
このように結論を急いで出そうとせず、事前にいくつかの『論点』を洗い出してから議論を始めると、納得のいく結論が出しやすくなります。
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訪問看護における円滑なコミュニケーション思考④『相手視点』で伝える

円滑なコミュニケーションのためには、自分視点での伝え方をせず『相手視点』で伝えることも重要です。
自分視点の伝え方で話が噛み合わない3つのパターン
自分視点の伝え方をしてしまい、会話が噛み合っていない3つのパターンとして以下が考えられます。
- 自分の期待する結論ありきで話している
- 相手の聞きたい順番を無視して話している
- 相手の知識・立場を考えずに話している
これらについて、詳しく解説します。
パターン1「結論ありきで話している」
一つ目の自分視点なパターンとして、自分が思い描く理想的な結論ありきで話してしまうことが考えられます。自分が望む結論に持っていくために必要なこと・メリットだけを伝えてしまうと、建設的な議論が進まないばかりか、相手に不快な印象を与えかねません。
パターン2「相手の聞きたい順番を無視している」
2つ目に、相手の聞きたい順番ではなく、自分の話したい順番に話してしまうパターンもあるでしょう。相手にとっては「自分の知りたいことをいつ話してもらえるのだろう?」「こちらとしてはそれは優先度高くないんだよな」などと感じることがあります。
伝えている内容が正しかったとしても、相手からすると「優先順位がわかっていない」と誤解されてしまう可能性もあるため注意が必要です。
パターン3「相手の知識・立場を考えていない」
3つ目のパターンとして、相手の知識・立場を考えずに伝えてしまうパターンが挙げられます。相手の視点で伝えるためには、以下の点を先回りして考えてみることが重要です。
- 相手が何に困っているか
- 相手の大切にしていることは何か
- 相手は上長からどのような役割を求められているのか
などを、俯瞰して考えてみる習慣をつけるとよいでしょう。
『相手視点』で伝えることの重要性
話が噛み合わないと感じる場合には、これまで紹介してきた3つのパターンに当てはまっていないか、振り返ってみることが大切です。一人ひとりが『相手視点』で伝えることを意識すれば、チーム全体での円滑なコミュニケーションにつながるでしょう。
まとめ:4つのコミュニケーション思考法を身につけ、早い段階で会話のズレに気づこう!

これまで解説してきた4つのコミュニケーション思考法を、メンバー1人ひとりが身につけることが、訪問看護のコミュニケーションを円滑にするために重要です。コミュニケーションの問題や会話のズレが生じた場合、個々の感情にも影響を与えるため、チーム内の関係性が悪化する前に早めに対処することが肝となります。
管理者・経営者は、組織全体に4つの思考法を定着させ、コミュニケーションの活性化を図ることが大切です。
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