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訪問看護の仕事内容とは?具体的な業務と役割について解説

訪問看護の仕事内容

日本社会の高齢化が急速に進展する中で、訪問看護の役割と必要性はかつてないほど注目を集めています。自宅での療養生活を希望する人々が増える一方で、医療と福祉の連携が不可欠となる場面が多く見られるようになりました。訪問看護は、このニーズに応えるために欠かせないサービスとして、医療機関や福祉サービスと在宅療養者の架け橋となる存在です。

本記事では、訪問看護の基礎知識から現場で必要とされるスキル、さらに訪問看護ステーションの管理者が果たすべき役割を詳しく解説し、訪問看護の魅力と課題を多角的に掘り下げます。

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訪問看護の役割について

訪問看護は、在宅療養者にとって不可欠なサービスです。ここでは、訪問看護の基本的な定義から、現在の需要と管理者が果たすべき役割を詳しく解説します。

訪問看護とは?

訪問看護とは、看護師が利用者様の自宅を訪問し、医療的ケアや生活支援を提供するサービスです。医師の指示に基づき、健康状態の観察や服薬管理・リハビリテーションなどを行うことで、在宅療養を支援します。また、利用者様だけでなくそのご家族への精神的なサポートなどコミュニケーションを取りながらの支援が特徴です。

訪問看護は在宅医療の中心的役割を果たしており、地域包括ケアシステムの一翼を担うサービスと位置付けられています。特に慢性疾患を抱える方、終末期医療が必要な方にとって、訪問看護は生活の質を維持するために大きな支えとなっています。

訪問看護の需要と現状

日本の訪問看護の需要は今後さらに拡大すると予測されています。厚生労働省のデータによると、訪問看護の利用者数は年々増加傾向にあり、令和4年4月の利用者数は約69万人に達しました。

また、利用者数だけでなく訪問看護ステーションの数も増加傾向にあり、その背景には、在宅医療の必要性の高まりや、地域包括ケアシステムの推進が影響しています。

さらに、医療費抑制の観点からも在宅医療の必要性が注目されており、今後ますます入院医療から在宅医療へのシフトが進むでしょう。しかし訪問看護は、需要の増加に対して人材不足が深刻化しています。こういったことから、訪問看護師の確保や育成、そして訪問看護サービスの質と量の維持が喫緊の課題となっています。

参照:訪問看護│厚生労働省

訪問看護の役割

訪問看護の役割は、単に医療的ケアを提供するだけにとどまりません。利用者様の健康維持や回復・疾病予防、さらには生活の質(QOL)の向上を目的としています。具体的には、急性期・慢性期・リハビリ期・終末期などあらゆる病期に対応し、それぞれの状況に応じたきめ細やかなケアを行います。

また、利用者様が地域で自立した生活を送るための支援も大切な役割です。さらに、医療機関や介護施設・地域包括支援センター・行政機関などと連携し、地域全体で支える包括的なケアシステムの構築にも貢献しています。最近では、緩和ケアなどの専門性の高いサービスへの需要が高まっており、多機能型サービスの展開が注目されています。

関連記事:訪問看護で求められるスキルとは?経験者が直面する課題について解説

訪問看護の管理者の役割

訪問看護ステーションの管理者は、組織全体の運営とスタッフのマネジメントなど大きな役割を果たします。具体的には、スタッフの労務管理・訪問スケジュールの調整・利用者様の獲得・請求業務の管理など、業務内容はさまざまです。また、医療機関や介護事業者との連携を強化し、地域包括ケアシステムの中での効果的な機能が求められます。

さらに、管理者はスタッフの教育・研修を通じて、質の高いサービス提供を維持するための組織マネジメント能力が不可欠です。厚生労働省の指針では、訪問看護ステーションの管理者は、看護師としての実務経験があることが求められており、現場の課題を理解しながら適切な判断と指導ができることが期待されています。

関連記事:訪問看護管理者の役割とは?業務内容や必要な資格・条件について徹底解説!

訪問看護の仕事内容

訪問看護の仕事内容

訪問看護は、利用者様が住み慣れた自宅で安心して療養生活を送ることを支援する医療サービスです。ここでは、訪問看護で求められる具体的な仕事内容を詳しく解説します。

利用者様の健康状態の観察

訪問看護の基本的な業務の1つが、利用者様の健康状態の継続的な観察です。体温や血圧・脈拍・呼吸状態などのバイタルサインの測定に加えて、皮膚の状態や食欲・排泄状況・睡眠の質なども総合的に確認します。

これにより、病状の変化や異常の早期発見しやすくなるため、必要に応じた迅速な対応が可能です。また、利用者様やご家族とのコミュニケーションを通じて、心理的な変化や生活環境の課題も把握し、包括的なケアに役立てます。

さらに、健康状態の記録と報告の徹底は、医師やケアマネージャー、ヘルパーなど多職種との円滑な情報共有・適切な治療方針の決定につながるでしょう。

医師の指示に基づく医療的ケア

訪問看護師は、医師の指示書に基づいて専門的な医療的ケアを実施します。これには、点滴管理やカテーテルの管理・褥瘡の処置・服薬管理・人工呼吸器の管理などが含まれます。医療的ケアは正確さだけでなく、利用者様の安全確保も欠かせません。特に感染予防対策や緊急時の初期対応など、安全管理に関する知識と技術が必要です。

また、医師との密な連携を保ち、必要に応じて報告や相談を行うことで、利用者様の健康状態を最適に維持するための体制を整えています。このような継続的なモニタリングと適切な対応により、入院の回避や在宅療養の継続が可能となります。

日常生活支援

医療的ケアだけでなく、利用者様が自立した生活を送るための日常生活支援も訪問看護の大切な業務の1つです。食事や入浴・排泄・衣服の着脱など日常動作の支援を行うことで、利用者様の生活の質を向上させます。

さらに、福祉用具の活用方法や住宅改修に関するアドバイスも提供し、生活環境の改善を図ります。これらの支援は、利用者様の尊厳を守り、可能な限り自立した生活を継続するためのサポートが目的です。また、ご家族への介護指導も大切な役割であり、適切なケア方法の共有は、介護負担の軽減と安心感の提供に繋がります。

ターミナルケア

訪問看護では、終末期の利用者様に対するターミナルケアも行います。身体的な痛みや不安を和らげるための緩和ケアを提供し、利用者様が自宅で安らかに過ごせるよう支援します。また、ご家族への心理的サポートも行うことで、在宅での看取りがスムーズに行いやすくなるでしょう。

また、医師やケアマネージャー、ヘルパーなど多職種との連携を通じて、利用者様そしてご家族とコミュニケーションを取りながらケアプランを作成し、尊厳ある最期を迎えるための支援を提供します。

ターミナルケアでは、利用者様の苦痛緩和だけでなく、精神的な安寧を保つための心のケアも欠かせません。加えて、看取り後のグリーフケア(遺族ケア)を行うことで、遺族の心の整理を支援し、地域全体での包括的な支援体制を確立しています。

多職種や関係機関との連携

訪問看護は、医師やケアマネージャー、ヘルパーなど多職種と連携しながら業務が進められますまた、利用者様に最適な支援を提供するために、行政機関や地域の福祉サービスとの連携も欠かせません。

情報共有や定期的なカンファレンスを通じて、利用者様の状況を総合的に把握し、課題に対して迅速かつ的確に対応できるよう努めます。この多職種連携により、医療と福祉の両面から包括的な支援が実現されます。

さらに、地域包括支援センターや訪問介護事業所との連携強化によって、利用者様の生活環境全体をサポート可能です。これにより、医療的ケアだけでなく、福祉や心理的支援も含めた総合的なケアができるようになるため、地域全体での支援ネットワークの構築が進みます。

訪問看護の管理者の仕事内容

訪問看護の管理者の仕事内容

訪問看護ステーションの運営で、管理者は利用者様に質の高い看護サービスを提供するための中核的な役割を担っています。ここでは、訪問看護の管理者が果たす具体的な仕事内容を、より詳しく解説します。

訪問看護の組織マネジメント

訪問看護の管理者は、ステーション全体の運営と組織マネジメントを担う中心的な存在です。サービスの質を維持・向上させるため、看護師やリハビリスタッフ、事務職員などのチームを効果的に統率し、業務の効率化を図ります。

さらに、事業の安定化には経営状況の分析や改善策の立案が不可欠です。そのため、定期的なミーティングやケースカンファレンスを実施してスタッフ間の情報共有を促進し、チームワーク強化を図ります。また、組織文化の形成や働きやすい職場環境の構築にも関わり、スタッフのモチベーション向上にも努めます。

スタッフの労務管理

スタッフの労務管理は、管理者の業務の1つです。適切な人員配置を行うことで、過重労働や業務負担の偏りを防ぎ、スタッフが安心して働ける環境を整えます。具体的には、勤怠管理やシフト作成・労働時間の調整などを行い、スタッフの健康維持と労働環境の最適化に努めます。

また、スタッフの意見や課題を把握し、職場の課題を早期に発見して改善していくために、定期的な面談が欠かせません。さらに、研修やスキルアップの機会の提供は、スタッフの専門性向上にもつながります。

訪問スケジュールの管理

訪問スケジュールの管理は、サービスの質を維持するうえで極めて大切な業務です。利用者様一人ひとりの健康状態や生活環境に応じた訪問計画を立案し、スタッフの勤務スケジュールと上手く調整します。急な訪問依頼やスタッフの体調不良など予期しない事態にも迅速かつ柔軟に対応しなければなりません。

また、訪問記録の確認や業務報告の管理を通じて、サービス提供の質を常にモニタリングし、必要に応じて改善を図ります。さらに、ICTツールの活用により、スケジュール管理の効率化を進めることも効果的です。

利用者様獲得のための営業活動

訪問看護ステーションの安定した運営には、新規利用者様の獲得が欠かせません。管理者は地域の医療機関や介護施設、ケアマネジャーなどとの関係構築を通じて営業活動を行います。具体的には、定期的な訪問や情報交換を通じて信頼関係を築き、ステーションのサービス内容や強みを効果的にアピールします。

また、地域のニーズを的確に把握したサービスの提供が、利用者様の満足度向上につながるでしょう。さらに、広報活動や地域イベントへの参加などを通じて、ステーションの知名度向上を図ることも管理者の大切な役割です。

請求業務のチェックや管理

訪問看護ステーションの収益管理には、正確かつ効率的な請求業務が不可欠です。管理者は、保険請求や利用者様への請求内容が正確に処理されているかを確認し、ミスや漏れが発生しないよう厳密に管理します。具体的には、請求書類の作成や点検・必要な修正対応を行い、事業所の収益の安定化を支えます。

また、適切な運営管理の実現には、最新の法令や制度改正に迅速に対応するための知識のアップデートが欠かせません。

訪問看護の1日の流れ

訪問看護師の1日は、効率的な業務遂行のために計画的かつ柔軟なスケジュール管理が求められます。ここでは、訪問看護師の1日の流れの一例を紹介します。

9:00 出勤と朝のミーティング

事務所へ出勤し、朝のミーティングで当日のスケジュールや利用者様の健康状態、緊急対応が必要なケースを情報共有します。必要な什器や書類を準備し、訪問活動の基盤を整えます。

9:30 午前中の訪問活動

計画に従い、利用者様の自宅へ訪問します。バイタルサインの確認や服薬管理・医療的ケアを行い、健康状態の変化に対応します。必要に応じて医師やケアマネージャー、ヘルパーなど多職種と連携し、ケアプランの調整も行います。

12:00 昼休憩

午前の訪問後、事務所に戻るか移動中に休憩を取ります。昼食を取り、午後の準備や情報整理をします。

13:00 午後の訪問活動

午後の訪問を再開し、リハビリ支援や日常生活のサポート・ターミナルケアなどを提供します。ご家族への指導や相談対応などコミュニケーションを取りながら、家庭内ケアをサポートします。

17:00 ステーション帰社と記録業務

事務所へ戻り、ケア内容や利用者様の状態を記録します。この記録は次回訪問やチーム内の情報共有に役立ちます。

18:00 記録業務と終業ミーティング

事務所での記録業務後、終業ミーティングで業務報告や翌日のスケジュール確認を行い、1日を締めくくります。

訪問看護のやりがいとメリット

訪問看護は、病院とは異なる環境で利用者様と深く関わることができる貴重な仕事です。医療的ケアだけでなく、日常生活の質を向上させるためのサポートも行うため、多くのやりがいを感じられる場面が多くあります。

利用者様一人ひとりに深く関わることができる

訪問看護の大きな魅力は、利用者様一人ひとりと密接に関わることができる点です。病院と異なり、ケアの提供は利用者様の自宅で行うため、家庭環境や生活習慣を理解し、一人ひとりに合わせた看護が実践できます。

また、長期的な関わりを通じて信頼関係を築きやすく、利用者様やご家族の安心感を支えることができます。こうした継続的なケアは、利用者様の心身の健康維持につながるだけでなく、看護師自身にも達成感を与えるでしょう。

治療ではなく生活を支える看護やリハビリが行える

訪問看護は単なる医療的ケアにとどまらず、利用者様の生活全体を支える役割を担います。病院での治療中心の看護とは異なり、訪問看護の仕事内容は、日常生活動作の支援やリハビリテーション・健康維持のための助言など、生活に密着したケアが中心です。

このような支援を通じて、利用者様が自立した生活を送るためのサポートが、訪問看護のやりがいとなります。

夜勤なしや土日休みの勤務も可能

訪問看護の働き方は、病院勤務に比べて柔軟で、ワークライフバランスの調整がしやすい特徴があります。多くの訪問看護ステーションでは日勤帯の勤務が主であり、夜勤がない・あるいは少ないのが特徴です。

そのため、土日休みやシフト制の勤務形態も多く、家庭との両立がしやすい環境が整っているため、子育て中の方などでも働き方を調整すれば仕事で活躍できます。このような働き方は、あらゆるライフステージで活躍したい看護師にとって大きなメリットとなります。

まとめ

訪問看護は、利用者様一人ひとりに寄り添ったきめ細かなケアを提供する役割を担っています。医師の指示に基づく医療的ケアや日常生活支援・多職種との連携を通じて、地域での自立した生活を支えることができます。

また、働く看護師にとっても、夜勤の少なさや柔軟な勤務体系により、ワークライフバランスを保ちながら活躍できる点が魅力です。

UPDATEでは、「実践的なマネジメントを学べば、医療はもっと良くなる。」というビジョンのもと『訪問看護マネジメントスクール』を提供しております。無料相談も実施しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

小瀨文彰プロフィール写真(株式会社UPDATE 代表取締役)
株式会社UPDATE 小瀨 文彰
株式会社UPDATE 代表取締役(看護師・保健師・MBA) ケアプロ訪問看護ステーション東京にて新卒訪問看護師としてキャリアスタート。その後、訪問看護の現場・マネジメント経験の他、薬局や訪問看護運営するスタートアップ企業で40拠点・年商65億規模の経営を行い上場企業へのグループインを実現。現在は医療職マネジメント人財を育成するためマネジメントスクールを運営中。