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【訪問看護の他職種マネジメント】専門職集団をまとめる4つの鉄則とは?

訪問看護の他職種マネジメントアイキャッチ

訪問看護の現場では、異なるバックグラウンドを持つスタッフを管理する場面が多々あります。専門外の領域に踏み込み、チームをまとめることに対して不安を感じる方も多いでしょう。
特に、現場経験のない管理者が専門職集団をマネジメントする際には、特有の難しさが伴います。しかし、いくつかの重要なポイントを押さえることで、信頼関係を築き、組織を円滑に運営することは可能です。

本記事では、専門外のチームを管理する、異職種チームマネジメントを成功させるための4つの鉄則を解説します。現場のスタッフと良好な関係を築き、組織としての成果を最大化するためのヒントとしてお役立てください。

著者名

執筆者

株式会社UPDATE 小瀨 文彰

株式会社UPDATE 代表取締役(看護師・保健師・MBA) ケアプロ訪問看護ステーション東京にて新卒訪問看護師としてキャリアスタート。その後、訪問看護の現場・マネジメント経験の他、薬局や訪問看護運営するスタートアップ企業で40拠点・年商65億規模の経営を行い、上場企業へのグループインを実現。現在は医療職マネジメント人財を育成するためマネジメントスクールを運営中。

■経歴
2013年 慶應義塾大学 看護医療学部 卒業
2013年 ケアプロ株式会社入社
2019年 株式会社UPDATE(旧:ヘルスケア共創パートナー株式会社) 創業 代表取締役(現職)
2021年 GOOD AID株式会社 取締役(事業譲渡により退任)
2023年 セルフケア薬局 取締役(吸収合併により退任)
2023年 まちほけ株式会社 代表取締役(事業譲渡により退任)

■得意領域
医療系事業の組織マネジメント
教育体制構築
採用戦略・体制構築
教育体制構築
新卒訪問看護師の育成
管理職の育成

■保有資格・学位
看護師
保健師
経営学修士(MBA)

訪問看護の他職種マネジメントで直面する課題

他職種マネジメントに直面する訪問看護師

多くの管理者が最初に直面するのは現場からの反発や不信感です。特に、非医療職の管理者が訪問看護業界に参入する場合や、異なる専門職をまとめる場合によく見られます。

利益追求と現場の倫理観とのギャップ

近年、異業種から医療や介護業界へ参入する企業が増えていますが、批判的な声も少なくありません。一部の事業者が、制度の隙間を突いて利益を最大化しようとする姿勢を見せることがあるためです。

例えば、本来の必要性とは無関係に訪問回数を増やしたり、緊急加算を算定したりするケースが散見されます。このような手法は、現場で働く専門職の倫理観とは大きくかけ離れたものです。

現場のスタッフは、目の前の利用者や患者に対して最善のケアを提供することを第一に考えています。そのため、管理者が事業やサービスへの敬意を欠き、単なる利益の道具として扱うような態度は、強い不信感を招きます。事業への理解が不足したまま数字だけを追及しても、現場との溝は深まるばかりでしょう。

専門職としてのプライドと文化の違い

また、医療現場には職種ごとに異なる教育背景や文化が存在することも、マネジメントを難しくする要因です。
例えば、リハビリ専門職は「先生」と呼び合う文化がある一方で、看護師はチームで動く文化が強いといった違いがあります。

こうした背景を理解せずに、一方的なやり方を押し付けると、スタッフ間の軋轢を生む原因になります。異職種マネジメントを成功させるためには、まず管理者が「よそ者」であることを自覚し、歩み寄る姿勢が必要です。

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他職種マネジメントの鉄則1:事業の肝を正しく理解する

専門外のチームを管理する上で最も重要なのは、その事業やサービスの「肝」を深く理解することです。表面的な知識や利益構造だけでなく、現場が何にリスクを感じ、何を大切にしているかを知る必要があります。

サービスの根幹にある重要事項を把握すること

長期的に利益を出し続けるためには、サービスの質を維持し、ルールを守る姿勢が大切です。制度の穴を突いて一時的に収益を上げたとしても、それは長続きしません。

管理者は、その事業において何が適正なサービスであり、どの程度のケアが必要なのかをアセスメントする視点を持つ必要があります。

現場スタッフがコンプライアンスやモラルを重視している場合、それを無視した経営方針は組織を崩壊させます。事業の根幹となる重要な部分を理解せずして、現場のメンバーをマネジメントすることは不可能です。
そこでまずは、そのサービスが社会や利用者にとってどのような価値を提供しているのかを、深く学ぶことから始めましょう。

現場に入り込みリスクと勘所を学ぶこと

専門外の領域であれば、現場の細かな動きや感覚がわからないのは当然のことだと言えます。例えば、薬局経営に関わる場合、薬剤師が裏でどのような業務を行い、何に気を配っているかは外からは見えません。調剤におけるミスの防止や、事故につながりやすいポイントなど、現場には特有の緊張感があります。

わからないことをそのままにせず、実際に現場に入り、1日の流れや業務内容を見せてもらうことが大切です。現場スタッフとの対話を通じて、彼らが何度も口にする懸念点や重要視している事項を汲み取ってください。管理者が現場の「肌感覚」や「肝」を理解しようとする姿勢は、スタッフからの信頼を得るための第一歩となります。

他職種マネジメントの鉄則2:スタッフの関心に寄り添う

スタッフに寄り添う訪問看護師

管理者が意識すべきは、その場にいるメンバーの大切なものに関心を寄せることです。これは、組織に溶け込み、敵対関係ではなく仲間としての関係を築くための鍵となります。

相手の価値観に寄り添い行動すること

管理者が新しく着任した際、現場スタッフは「自分たちの仕事を理解していない人が来た」と警戒心を抱くものです。特に、新しい取り組みや変革を求めている場合、現場からは抵抗勢力として見なされることもあります。そのような状況で、上から目線で指示を出しても、スタッフの心は動きません。

重要なのは、現場スタッフが日々の業務の中で何に誇りを持ち、何を心がけているかを観察することです。例えば、店舗の清掃が行き届いており、利用者を迎える環境作りを徹底している職場であれば、それは彼らの誇りです。管理者はその事実に気づき、称賛するだけでなく、自らもその行動に参加する姿勢を見せましょう。

拒絶反応を信頼関係に変えていくこと

実際に、ある薬局での事例では、新任の管理者が挨拶をした直後に名刺を捨てられるという拒絶を受けたことがありました。
しかし、その管理者は店舗が非常に綺麗に保たれていることに気づき、翌朝一番に出勤して自ら掃除を始めました。スタッフが大切にしている「綺麗な店舗で患者を迎える」という価値観を、管理者自身も行動で示したのです。

この行動により、当初は敵対的だったスタッフの態度は一変し、新しいサービスの導入にも協力的な姿勢を見せるようになりました。
自分が大切にしているものを、管理者も同じように大切にしてくれると感じた瞬間、スタッフは管理者を仲間として認めます。テクニックのように見えるかもしれませんが、相手を尊重する気持ちを行動で示し続けることが、信頼関係構築の近道です。

他職種マネジメントの鉄則3:現場の言葉で対話する

現場の言葉で他職種と会話する訪問看護師

コミュニケーションにおいて、言葉選びは管理者と現場の距離を縮めるために非常に重要な要素です。専門外の管理者が陥りがちなのが、現場に馴染まないビジネス用語を多用してしまい、スタッフとの心の距離を広げてしまうことです。

カタカナ言葉が招く心理的な壁

ビジネスの世界では当たり前に使われる、ビジョンやボトルネックなどの横文字は、医療現場では嫌われる傾向にあります。現場のスタッフにとって、これらの言葉が聞き馴染みがないケースも少なくありません。
それだけでなく、格好をつけている・現場を知らないなどのネガティブな印象を与える恐れもあります。

目標管理や業務改善の話をする際も、できるだけ現場で日常的に使われている平易な言葉に置き換える配慮が必要です。言葉ひとつで「この人は自分たちのことをわかっていない」と判断されてしまうリスクがあることを認識しましょう。

現場の共通言語を学んで得られる信頼

逆に、現場スタッフが普段使っている専門用語や言い回しを管理者が使うことで、親近感や信頼感は大きく向上します。
例えば、特定の薬剤名や専門的な処置の名前などを正しく覚えて、会話に盛り込むのも効果的です。たとえ専門家としての知識は及ばなくても、現場の言葉を知ろうとする姿勢は好意的に受け取られるでしょう。

また「〇〇さんは現場のことをよくわかってくれている」と感じてもらうには、スタッフの会話に耳を傾け、その言葉遣いを真似ることが有効です。
現場の言葉で語ることは、単なるテクニックではなく、相手と同じ目線で仕事をするという意思表示になります。経営的な視点の話をする際も、まずは現場の言葉で彼らの苦労や想いを語った上で伝えると、納得感が生まれるでしょう。

他職種マネジメントの鉄則4:違和感を消し職場に馴染む

最後に、視覚的な情報として見た目や雰囲気を現場に合わせることも、マネジメントを円滑にするための重要な要素です。
管理者が現場にとっての異物にならないよう、職場の空気に溶け込む努力が求められます。

服装や振る舞いを環境に合わせること

新しい組織に入る際、その職場の雰囲気に合わせた服装を選ぶことは、第一印象を左右する重要なポイントです。
例えば、スタッフ全員がワイシャツや制服を着用している職場に、ラフなパーカー姿で現れれば、明らかに浮いてしまいます。逆に、カジュアルな雰囲気の職場に、堅苦しいスーツで現れるのも違和感を与えます。

管理者は、その組織にとって自分が「異物」として映らないよう、服装や振る舞いを調整する必要があります。最初は無難な服装で様子を見つつ、徐々に周囲のスタッフの服装や出勤時の様子を観察し、自然に馴染むスタイルを取り入れていきましょう。
外から来た人間だという警戒心を解くためにも、視覚的な同調は効果的な手段となります。

異物感をなくしチームに溶け込むこと

過去には、介護事業所のM&Aの場面で、コンサルタントが派手なスーツや高級時計を身につけて現場に現れ、反発を買った事例があります。現場の雰囲気とはかけ離れたギラギラした出立ちは、スタッフに「自分たちとは違う世界の人間だ」という強い拒絶感を抱かせ、結果として案件が破談になることさえあります。

このように、現場の空気を読まない服装や態度は、マネジメント以前の問題として、入り口でコミュニケーションを閉ざしてしまう原因になります。
まずは組織の中に自然に溶け込み、違和感を持たれない存在になることが、人を動かすための前提条件です。専門外のチームを率いるからこそ、誰よりも現場の空気に敏感になり、謙虚に馴染んでいく姿勢が求められます。

まとめ:リスペクトと理解が訪看異職種マネジメントの鍵

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専門外のチームをマネジメントすることは決して簡単ではありませんが、基本となるのは「相手を知り、尊重する」という姿勢です。事業の肝を理解し、スタッフが大切にしている価値観を共有し、現場の言葉と雰囲気で接することで、心の距離は縮まります。

経営手法や管理テクニックの前に、まずは現場で理解者として認識されることを目指しましょう。専門知識がなくても、スタッフへのリスペクトと歩み寄る努力があれば、信頼関係は築けます。
今日から実践できる小さな行動の積み重ねが、強固なチーム作りへとつながっていくでしょう。

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例えば、

  • スタッフに改善点を伝えたいが、辞められそうで怖い
  • 利用者からのハラスメントを受けて、スタッフが泣きながら帰ってきた
  • 採用面接で、求職者がみんないい人に見えてしまう

などの事例について「自分ならどうするか?」を考え、判断の引き出しを増やしていく場です。

他の管理者の視点を知り、自分の考えを言語化することで、現場で使える形に落とし込んでいきます。

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