訪問看護マネジメントでの「リーダーシップ」とは?人を率いるための3つのポイントを徹底解説!

訪問看護マネジメントで、
「スタッフがついてきてくれない」
「人材が定着しない」
などの悩みを抱えていませんか?
これらの問題は、リーダーシップ力が不足していることが原因かもしれません。本記事では、訪問看護のマネジメントにおけるリーダーシップの重要性を解説し、組織を活性化させるための3つのポイントを解説します。
管理業務を回すだけでなく、リーダーシップを発揮できる管理者を目指すための、具体的なヒントを紹介します。ぜひ最後までお読みください。

目次
訪問看護での「リーダーシップ」の悩みと課題

訪問看護をマネジメントするうえで、リーダーシップに関する悩みを抱える管理者は少なくないでしょう。
- 管理者やリーダーとして不安がある
- メンバーがついてきてくれる感じがしない
- メンバーの不満には対応しているが、やる気を出せていない
- 指示したこと以上に、メンバーのパフォーマンスがでない
- 人材が定着せず、スタッフの入退職が多い
- 新任の管理者を配置したら、スタッフの退職が増えた
上記の問題を抱えるマネージャーはあなただけではありません。
問題を放置すると、個人的に仲がよいスタッフしかついてこない「独りよがりリーダー」になってしまう可能性があります。
訪問看護管理者の役割「リーダーシップ」と「マネジメント」

訪問看護管理者の役割は、効果的かつ効率的に組織の成果を上げることです。そのためには、リーダーシップ(活性化)とマネジメント(管理)の2つの側面が大切です。
リーダーシップ(活性化) | ビジョンの提示チームワークの形成メンバーの動機づけ |
マネジメント(管理) | 短期的な計画や予算立案組織の構造設計や人材配置業務(記録やレセプト等)の進捗管理 |
マネージャーの役割は、シフトやスケジュールを組み、日々の業務を回すことだと考えている方は多いでしょう。しかし、マネジメント(管理)だけでなく、リーダーシップの役割も重要です。
特に、独りよがりリーダーに陥りやすい管理者は、マネジメント要素に偏りすぎてしまう傾向があります。その理由として、マネージャーの真の役割を教わっていないことや、日々の業務を回すための管理の方が緊急度が高いことなどが考えられます。
管理業務だけでなく、いかにリーダーシップをとり、組織を活性化させるかという視点も必要です。組織の現状維持を目指しているだけでは、緩やかな衰退への一途を辿ります。組織を活性化させる意識をもつことで、組織の衰退を回避し、成長につながるでしょう。
訪問看護の「リーダーシップ」でよくある失敗パターン

訪問看護で独りよがりになりやすいリーダーによくある失敗パターンとして、以下が挙げられます。
- 数値管理はできるが、意味・意図がなく、無機質な管理になっている
- 業務はしっかり回せるが、こなすだけの組織になっている
- 事業の方針にかかわらず自分好みで採用を進め、組織に悪影響を及ぼしている
- 管理的な関わりは得意だが、意義づけ・動機づけを行っていない
- 指示出しばかりして、スタッフにとっては一緒に戦っている感じがしない
- メンバーの悪い点ばかり話し、失敗を部下の責任にする
管理職に配置されるということは、一定のマネジメントスキルがある場合が多いでしょう。しかしリーダーシップが欠如していると、労働集約型で人ありきなサービスである訪問看護では、致命的な問題となりかねません。スタッフの離職が相次ぎ、組織に合わない人材が増えてしまうなど、負のサイクルに陥る恐れがあります。
訪問看護マネジメントで人を率いるための3つのポイント

訪問看護でリーダーシップをとるために、押さえておくべきポイントは以下の3つです。
①リーダーシップの2種類のタイプを知る
②人・組織を活性化させる5つのエンパワーメントプロセスを理解する
③リーダーとして望ましい立ち振る舞いをする
上記について、一つひとつみていきましょう。
①リーダーシップの2種類のタイプを知る

リーダーシップの型として、指示命令型と権限移譲型の2つが挙げられます。
リーダーシップの型 | 権限・責任の所在 | 指示と遂行の仕方 |
指示命令型 | 指示する側に権限と責任がある | 指示する側の指示のもと、受ける側が遂行する |
権限移譲型 | 権限移譲する側に結果責任、権限を受ける側に執行責任がある | 権限移譲する側が目標を明示し、権限と支援を受けながら目標に向かって遂行する |
指示命令型のリーダーシップだけでは、スタッフが育ちにくい組織になりかねません。ただし、重要度や緊急度が高い場合は、指示命令型を選択すべきときもあります。
②人・組織を活性化させる5つのエンパワーメントプロセスを理解する
権限移譲型のリーダーシップで、エンパワーメントを実践する際、実質的にはメンバーに業務を丸投げしてしまうことは少なくありません。丸投げしてしまうと、リーダーとメンバーでの齟齬が生まれたり、メンバーの不満が募ったりすることがあります。
業務を丸投げせず、人や組織を活性化させるためには、以下の5つのエンパワーメントプロセスを踏むことが重要です。
- 目的・ビジョンの共有
- 状況と対象者の把握
- 采配
- 動機づけ
- 支援
続いて、それぞれについてみていきましょう。
1.目的・ビジョンの共有

まずは権限を移譲する側と受ける側で、目的やビジョンを共有し、合意形成することが重要です。
何を何のためにやるのか、やらないデメリットについて、お互いの考えを擦り合わせます。業務の優先順位や判断基準など、対応や意思決定に重要な要素も共有しましょう。
2.状況と対象者の把握
続いて、置かれている状況を把握しましょう。権限移譲する仕事の重要度や緊急度、難易度、制約条件を確認します。また、権限移譲の対象者の状況を、以下の視点で理解することも重要です。
- 能力(経験・実績・知識など)
- 意欲(気構え・志向・感情など)
- 特性(性格・嗜好・得手不得手の意識など)
3.采配
状況と対象者を把握したら、目標を達成するために必要な人員やチームを決めます。ここで重要なのは、業務の難易度や対応するメンバー・チームの状況に応じて、移譲するレベルや確認プロセスを調整することです。
また、権限を移譲されたメンバーへの対応ルールを、組織全体のルールにすることも大切です。権限移譲されたメンバーだけが特別なルールのもとで業務を行っている場合、他のメンバーから反感を買う恐れがあるためです。
組織全体での決めごととして対応ルールが周知されていれば、全員が気持ちよく働くことができます。
4.動機づけ

采配後は、業務を丸投げにせず、定期的にメンバーをフォローアップすることが動機づけに繋がります。フォローアップの頻度・スケジュール・内容をあらかじめ決めておきましょう。
権限を移譲されたあとで、上司から度々報告や確認を求められたりすると、信頼されていないように感じるメンバーは少なくありません。定期的なフォローアップについて事前に同意を得ることで、このような事態は防げるでしょう。
5.支援
最後のステップとして、業務遂行に必要な支援を行うことが重要です。移譲した権限で対応できない問題が発生した場合、上司が周辺環境を整える必要があります。その他、チームメンバーの調整やルールの調整など、上長でないとできない支援を行いましょう。
上記の1〜5のプロセスで、スタッフの能力や状況に合わせたエンパワーメントを実行し、メンバーとともに成長できる環境を整えることが大切です。
③リーダーとして望ましい立ち振る舞いをする
リーダーとしての役割を果たしたいと思う一方で、「私にはカリスマ性がない」と自信をなくしている管理者もいるのではないでしょうか?
そのような悩みに対する一つの回答として、「ついていきたいリーダー像」と「反面教師としてのリーダー像」を明らかにするとよいでしょう。
リーダーとして望ましい立ち振る舞いの例は以下のとおりです。
- リーダー自身が目の前の仕事に熱量があること
- ビジョンや仕事の意義・意図を伝え続けること
- 事業>組織の主従(優先順位)を明確にもっていること
- ビジョンだけでなく、具体的な目標を追うチームであること
- ともに戦う仲間であり続けること
- 仲間が大事にしていることに思いを馳せられること
- 感謝と前向きな期待を常にもつこと
このように、リーダーとして望ましい立ち振る舞いを具体的に考えてみましょう。
リーダーの立ち振る舞い・意思決定・行動が、組織の在り方を左右することがあります。医療マネジメントでの負のサイクルを好転させる立ち振る舞いが、リーダーには求められています。
まとめ:組織を活性化させる先導者を目指そう!

訪問看護のマネジメントを成功させるには、業務管理のスキルだけでなく、人・組織を活性化させるリーダーシップを発揮することが重要です。指示命令型と権限移譲型の2つのリーダーシップの使い分けや、5つのエンパワーメントプロセスの実践により、スタッフの成長・組織の活性化につながります。
また、リーダーとして望ましい立ち振る舞いを日々意識し、スタッフとの信頼関係を築くことも欠かせません。これらの実践により、「独りよがりリーダー」から脱却でき、チーム全体のパフォーマンスを高められるでしょう。
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