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訪問看護マネジメントでの「採用力」とは?適切な人材を見極める3つのポイントを徹底解説!

訪問看護マネジメントにおける「採用力」とは?適切な人材を見極める3つのポイントを徹底解説!

訪問看護の採用において、「どんな質問をしたらよいかわからない」「採用したばかりのスタッフがすぐに辞めてしまう」といった悩みを抱えていませんか?

適切な人材の見極めが難しいと感じている管理者は少なくないでしょう。

採用したスタッフが定着しなかったり、トラブルを起こしてしまったりするのは、「採用力」不足が原因かもしれません。

適切な人材を採用する力は、質の高い看護を提供し、安定的に運営し続けるために重要です。

本記事では、訪問看護における採用の悩みと、採用力不足がもたらす具体的な弊害を明らかにします。また、必要な人材を見極めるためのポイントを詳しく解説します。

この記事を読めば、訪問看護事業所の「採用力」を向上させ、組織の成長と安定を実現するための一歩を踏み出せるでしょう。ぜひ最後までお読みください。

訪問看護での採用の悩みと課題

採用に悩む訪問看護管理者

訪問看護の採用において、以下のような悩みを抱えている管理者は少なくないでしょう。

  • 採用面接を学んだことがなく、感覚でやっていて不安
  • どんな質問をしたらよいかわからない
  • 良い人そうでも、入ってからのギャップが大きい
  • みんな良い人に見える
  • 採用後にすぐ辞めてしまう人が多い

優秀だと思って雇ったスタッフが、意外にも軋轢を生む原因となり、組織が壊れてしまったという経験がある管理者もいるかもしれません。

このような悩みや問題を抱える訪問看護事業所の課題は、「誤った人事」であるといえます。

訪問看護で採用力不足が引き起こす5つの弊害

採用がうまくいかずに悩む訪問看護管理者

適切な人材を見極め、誰を採用するかという意思決定は、マネジメントにおいて極めて重要です。どのような人材を採用し、不採用とするかは、事業所の組織文化を形成する一つの要素となります。

採用時における人材の見極めが甘いことで起こり得る弊害として、以下の5つのケースが考えられます。

期待していたパフォーマンスが発揮されない

人材の見極めが甘いと、採用時に期待していたパフォーマンスが実際には発揮されないケースが考えられます。

入職直後にちょっとしたことですぐ辞めてしまう

採用力が不足していると、入ったばかりのスタッフが、入職後にちょっとしたできごとによって辞めてしまうこともあります。

すぐに辞めてしまうスタッフがいると、そのスタッフを採用したことによる実質的なダメージが生じるだけではありません。以下のような損失も考えられます。

  • 人材枠の観点:あるスタッフを採用したことで、ほかの優れた候補者を不採用にしたり、人材募集をストップしたりするなど機会損失が生じる。
  • 稼働率管理の観点:2〜3ヶ月先の稼働率を見据えてマネジメントしている訪問看護ステーションにとって、急なスタッフ変動があると経営に大きなダメージが生じる。採用し直すにしても、さらに2〜3ヶ月のタイムラグがあるため、経営のブレが生じる。

利用者さんや他職種からのクレームが増える

利用者さんからクレームを受ける訪問看護管理者

組織方針と異なる考えをもったスタッフを採用してしまうと、利用者さんや他職種からのクレームが増える恐れがあります。

課題への認識が低いスタッフや、管理者からのフィードバックを受け入れようとしないスタッフを採用したとします。そのようなスタッフが現場に立つと、利用者さんや周囲の関係者から、「事業所の対応が変わってしまった」と思われてしまうこともあるでしょう。事業所の悪い噂が広まり、信頼を損なう可能性もあります。

現場に立つと組織の評判を下げてしまうスタッフだとしても、現場に立たせないと、医療者としての根本的な価値を発揮してもらえません。このような誤った人事により、管理者は頭を抱えてしまうことになります。

高圧的・批判的な関わりで既存スタッフを攻撃し始める

自分の価値観や利己的な主張を通そうとするスタッフが入職すると、既存スタッフがダメージを受け、管理者への不信感を抱くことがあります。

管理者が「入職したばかりなので、もう少し様子をみよう」と対応を渋ってしまい、高圧的なスタッフへの介入が遅れることも少なくありません。雇ってしまった手前、すぐに辞めてもらう選択肢を取りにくいのも事実です。

すると、それまで協力的だった既存スタッフが管理者に対して、「大事にしてもらえない」と不満や不信感を募らせ、辞めてしまうことも考えられます。

事故やインシデント時に隠蔽・責任転嫁する

事故やインシデントを隠蔽したり、責任転嫁したりしてしまうスタッフを採用することも、健全な組織運営に悪影響を及ぼします。

例えば、訪問業務の道中に起きた事故を隠蔽してしまったスタッフがいたとします。周囲からは事故を隠蔽していることが明らかでも、本人が「事故はしていない」と言い張れば、管理者はそのスタッフを擁護せざるを得ません。

管理者の対応に対し、ほかのスタッフからは「この組織は事故を隠蔽するのか」と疑問の声が上がることもあります。

一方で管理者が事故を起こしたスタッフを問いただし、真実を白状させて懲戒処分とした場合、ほかのスタッフから「何かミスをしたら辞めさせられるのでは?」と不安な声も上がるでしょう。

事故を隠蔽してしまうようなスタッフを採用すると、管理者が板挟みになったり、ほかのスタッフが組織や管理者に対し、不信感や不安を抱くきっかけとなったりすることがあります。なんとか踏みとどまってきたコアメンバーが辞めてしまった場合、組織が崩壊してしまう恐れもあります。

健全な組織文化を醸成するためにも、採用の段階で誠実な人材かどうかを見極めることが重要です。

訪問看護で適切な人材を見極めるための3つのポイント

採用のポイントを伝える訪問看護管理者

誤った人事により生じる5つの弊害を避けるためには、採用力の底上げが必須です。

採用が難しい理由の一つは、「みんな良く見える」ことです。訪問看護管理者は共感性が高く、スタッフの可能性を引き出して育てたいと願うからこそ、候補者の多くが良く見えるのかもしれません。

スタッフの本当の力を引き出すためにも、組織の文化に合った人材を見極める力が必要です。適切な人材を見極めるためのポイントとして、以下の3つが挙げられます。

  • 組織が求める人材を明文化する
  • 見極める要素を押さえる
  • 採用面接の見極めテクニックを押さえる

それぞれについて詳しくみていきましょう。

①組織が求める人材を明文化する

組織が求める人材要件を言語化しておらず、要件に合った質問ができていないことが、採用力が上がらない原因の一つです。組織が求める人材を目標や課題から逆算し、言語化することが、見極め力を高める第一歩となります。

ただし、言語化していたとしても、「当たり前」な要素ばかりでは振り返りが不十分になってしまうため注意が必要です。例えば、求める人物像として、「看護が好きな人」「協調性がある人」などを掲げたとします。このような基準は、どの事業所でも同様に求められるような「当たり前」な基準であることから、判断がしにくくなってしまいます。

求める人物像を明文化するには、以下の表のように整理してみるとよいでしょう。

横軸では、組織において必要な「普遍的な要素」と「直近1〜2年の要素」に分けます。縦軸では、「必要な要素〜あるとよい要素」と「不採用にする要素」に分けて整理します。

〈求める人物像の例〉

普遍的な要素現時点の要素
必要〜ベターな要素・看護やリハビリが好きな人
・協調性がある人
・成長する意欲がある人
・教育に関する知識がある人
・管理者の立場を理解している人
・数値の管理が得意そうな人
不採用にする要素・過去の退職を他責思考で評論するような人
・患者さんのエピソードを全く語れない人
・新卒スタッフ(今は育てる余力がないため)
・専門スキルはあるがこだわりが強すぎる方(今はどの業務も全員で分担する必要がある規模のため)

このように、意図的に不採用要素を明確にすることで、ミスマッチを防ぐことにつながるでしょう。

②見極める要素を押さえる

漠然とした会話から、表面的なスキルや知識やトータルの印象だけで善し悪しを判断してしまう管理者も少なくありません。

全体を通した直観も大事です。しかし、採用者を見極めるポイントを理解することで、精度を上げられ、ほかのメンバーとも議論がしやすくなるでしょう。

見極める要素として、以下の4つが挙げられます。

  • スキル・知識
  • 考える力
  • 心の力
  • 力の源泉

特に、スキル・知識は入職後に身につけることも可能ですが、その他の要素は入職後に変えることが難しい要素です。

入職後に変えにくいこれらのポイントについて、ブレない軸をもっているかに注視して面接を行うことで、採用力が高まります。

続いて、各要素について詳しくみていきましょう。

スキル・知識

注意すべきは、スキル・知識があるように見えても、実際にどこまでできるのかを把握できずに採用してしまうことです。

アプローチ上困難だった点など、実際のエピソードを深掘りして確認すると、実際の経験値や知識の程度がわかることもあります。

 考える力

多角的な考え方ができるかどうかも重要な要素です。これまでの経験や考え方・本心から思考の癖が見えてくることがあるため、以下の4つの視点で確認しましょう。

  • 対象者や組織への貢献の考え方(他社貢献思考)
  • 課題特定とアクションへの考え方(課題解決能力)
  • 前提に応じた柔軟な考え方の転換(論理的思考)
  • 他社の立場などを意識した考え方(協調力)

 心の力

心がどのように動く方なのかを確認することも重要です。心の力とは、具体的に以下の4つが挙げられます。

  • 好奇心:何に興味があり、どの程度強いか
  • 探求心:物事を深く知って考えようとするか
  • 共感力:他者に共感でき、共感させられるか
  • 胆力:プレッシャー耐性・自律心があるか

力の源泉

仕事・行動の原動力となっているものや今後やりたいと思っていることなど、力の源泉についても確認しましょう。口頭では意欲的な発言をしていても、実際には熱量の源泉がない可能性もあります。

採用後の未来が、原動力の延長線上にあるかどうかをチェックすることが重要です。

これら4つの要素を一つひとつ評価するだけでなく、これまでみてきた心の力・考える力・経験に一貫性があるかチェックすることも大切です。

③採用面接の見極めテクニックを押さえる

面接時のテクニック不足により、表面的な質疑応答になってしまうことも、採用がうまくいかない原因となり得ます。相手の見えない部分を引き出す会話をするためのテクニックを7つ紹介します。

  1. 身構えさせない
    リラックスさせて、本音で話しやすくするため
  2. 志望動機は直接聞かない
    直接聞くと、形式的な良い回答しか出てこないため
  3. 最初に「自己紹介も兼ねてどんな仕事をしてきたか教えてください」とオープンに聞く
    回答の仕方で、業務をどのように捉え、どのような姿勢で取り組んできたかを把握する
  4. これまでの仕事の流れを時系列で深掘りする
    これまでの転職の理由や背景について、さりげなく確認する
  5. 基本はエピソードを話してもらう
    自分の解釈だけで話しているケースは要注意
  6. エピソードに対して深掘りして語れるかを確認する
    ・思考の深さや癖をみる
    ・心が動くポイントをみる(表情もチェックする)
    ・切り込んだ質問(プレッシャー)への耐性をみる
  7. 未来像について聞
    将来的にどのようなキャリアや仕事を望んでいるか確認する

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まとめ:採用力を高めるには、求める人材の明文化と見極める要素を押さえよう!

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訪問看護における採用力は、事業所の安定的な運営や質の高い看護の提供のために重要です。採用力不足は、利用者さんからのクレーム増加や既存スタッフへの悪影響を及ぼし、組織崩壊といった深刻な事態を招く可能性もあります。

組織にとって必要な人材を見極めるには、求める人材と不採用にする人材を明文化し、見極める要素を押さえることが重要です。また相手の心の奥にある考えを引き出すためのテクニックを活用することで、採用力を向上させられるでしょう。

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小瀨文彰プロフィール写真(株式会社UPDATE 代表取締役)
株式会社UPDATE 小瀨 文彰
株式会社UPDATE 代表取締役(看護師・保健師・MBA) ケアプロ訪問看護ステーション東京にて新卒訪問看護師としてキャリアスタート。その後、訪問看護の現場・マネジメント経験の他、薬局や訪問看護運営するスタートアップ企業で40拠点・年商65億規模の経営を行い上場企業へのグループインを実現。現在は医療職マネジメント人財を育成するためマネジメントスクールを運営中。