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訪問看護を開業したら年収はいくら?収入モデルと経営のポイントを解説

訪問看護 開業 年収

訪問看護の開業は、増え続ける在宅医療のニーズに応える必要不可欠なビジネスです。しかし、成功するためにはしっかりとした準備と運営の知識が必要になります。

本記事では、訪問看護ステーションの開業を目指す方に向けて、年収の目安や経営のポイントをわかりやすく解説します。訪問看護の役割や必要な資格、資金計画など、大切な情報を網羅しているため、開業に向けた第一歩として役立つ内容になっていますので最後までご覧ください。

訪問看護の開業を考える前に知っておくべきこと

訪問看護の開業を考える前に知っておくべきこと

訪問看護の開業は、社会的ニーズが高まる中で注目されているビジネスです。しかし、成功させるためには、訪問看護の役割や運営の基本的な知識をしっかり理解することが必要です。

訪問看護とは?開業の基本的な流れ

訪問看護とは、看護師が利用者様の自宅を訪問し、医療ケアや健康管理を行うサービスのことです。高齢化が進む日本では、在宅医療の必要性が増しており、訪問看護ステーションのニーズも高まっています。訪問看護ステーションを開業する際には、5つの基本的な流れが必要になります。

  1. 事業計画の策定
  2. 資金調達
  3. 施設や設備の準備
  4. 人員確保
  5. 開業手続き

開業にはしっかりとした準備が求められますが、訪問看護の社会的な需要が高まっているため、将来性のある分野です。

開業に必要な資格・要件と手続き

訪問看護ステーションを開業するには、一定の資格や要件を満たす必要があります。具体的には以下の条件が挙げられます。

管理者要件・保健師や看護師の資格
・専従かつ常勤
・勤務経験
・研修への参加
人員配置基準看護職員は常勤換算で2.5人以上の配置など
事業所基準・専用の事務室を設ける
・設備や備品を備える
開業手続き・都道府県への指定申請
・加算体制・業務管理体制の届け出

こうした要件を満たし、適切な手続きを行うことで、訪問看護ステーションの開業が実現します。しっかりと準備を行い、安心して事業をスタートできるようにしましょう。

参照:訪問看護ステーションを立ち上げるには?開設に必要な手続き・準備を初心者向けに徹底解説

訪問看護の開業にかかる費用と資金計画

訪問看護ステーションの開業には、設備投資や人員確保、備品購入など、さまざまな費用がかかります。適切な資金計画を立てることで、スムーズに事業を開始できるようになります。

訪問看護ステーション開業に必要な初期費用

これらの初期費用は総額で500万円〜1,000万円程度が一般的です。費用は事業規模や立地により変動するため、慎重に計画を立てましょう。

事務所の賃貸費用立地や広さによるが、月額10万円~30万円程度
医療機器の購入費用血圧計、体温計、パルスオキシメーターなどの医療機器
事務設備費用パソコン、FAX、電話機、デスク、椅子などの事務機器
車両費訪問看護用車両、購入費やリース費用

関連記事:訪問看護の開業資金はいくら?立ち上げに必要な資金と内訳を解説

訪問看護の運営に関する費用

訪問看護ステーションの運営には、運営に継続的な費用が発生します。これらの費用を把握し、安定した運営を目指しましょう。

人件費看護師や事務スタッフの給与、社会保険費用
光熱費・通信費事務所の電気代やインターネット利用料
医療材料費耗品や訪問時に必要な医療品の費用
広告宣伝費利用者様の獲得に向けたチラシやWeb広告などの費用

運営資金の確保と資金繰りのポイント

訪問看護ステーションの運営では、突発的な支出に備えて資金繰りの管理が大切です。資金を確保するためには、まず銀行融資の活用が効果的です。事業計画をしっかり立てることで、金融機関からの融資が得やすくなります。

また、助成金や補助金の活用も大事です。地域の医療支援制度などを積極的に利用することで、資金の負担を軽減できます。さらに、経費の見直しを行い、無駄なコストを省くことで効率的な経営を意識することが求められます。

開業時に利用できる助成金・補助金とは

助成金や補助金を活用することで、初期費用の負担を大幅に軽減することができます。効果的に利用するためには、申請条件や申請期間などの詳細を事前にしっかり確認し、計画的に準備を進めることが大切です。

キャリアアップ助成金

訪問看護ステーションの開業において、非正規雇用のスタッフを活用する場合、キャリアアップ助成金の活用が有効です。この助成金は、非正規雇用労働者を正社員化することで支給され、スタッフの定着率向上や人材確保の手助けとなります。

例えば、有期雇用労働者を正社員に転換した場合、中小企業では最大80万円が支給されます。こうした制度を活用すれば、訪問看護ステーションの安定的な運営が可能になり、長期的な人材育成にもつながります。

働き方改革推進支援助成金

訪問看護ステーションの運営において、職場環境の整備や労働時間の適正管理は重要な課題です。働き方改革推進支援助成金は、これらの取り組みを支援し、生産性向上や労務管理の強化に役立ちます。

例えば、労務管理ソフトの導入や就業規則の整備、外部専門家によるコンサルティングが助成対象となります。この制度を活用することで、スタッフの働きやすい環境を整え、訪問看護ステーションの安定運営につなげることが可能です。

関連記事:訪問看護ステーションの立ち上げに向け、活用できる助成金を詳しく解説

訪問看護の開業後の収入と年収の目安

訪問看護の開業後の収入と年収の目安

訪問看護ステーションを開業した場合、収入や年収は事業規模や利用者様の数、提供するサービスの内容によって大きく異なります。訪問看護の事業モデルでは、1件ごとの訪問ごとに収益が発生するため、利用者様数の増加が直接的な収益向上に繋がります。

訪問看護ステーションの平均的な収入は、事業開始から安定期に入るまでの時間によって変動します。開業直後は利用者様がまだ少なく、収入が不安定な場合が多いですが、経営者の場合、1年目で年収400万~600万円程度を目指すことが一般的です。運営が不安定な内は、会社の支出は抑えたほうがよいでしょう。運営が安定し、利用者様が増えれば、経営者として年収1000万円以上に達することも可能です。

収入の増減には、訪問件数やスタッフの稼働状況、さらに訪問地域の特性も影響します。特に都市部では利用者様の需要が高く、安定した収入が見込める反面、競合が多くなるため差別化が大切です。一方、地方では利用者様数の確保が課題となるものの、地域密着型の信頼関係を築くことで着実な収益が期待できます。

また、訪問看護ステーションの経営では、スタッフの人件費や交通費、消耗品などの経費を差し引いた利益が最終的な収入となります。経費の管理を適切に行い、サービスの質を保ちながら効率的な経営を意識することで、安定した収益を確保できるでしょう。

訪問看護の収益に関わる4つの要素

訪問看護ステーションの収益は、複数の要素が複雑に絡み合って決定されます。成功するためには、各要素に対する理解と効果的な対応が不可欠です。

①事業規模

事業規模は訪問看護の収益に直結する大事な要素です。ステーションの利用者様数が多ければ多いほど、訪問件数が増加し、それに伴って収入も増えます。事業規模を拡大するには、地域のニーズを把握し、ターゲットとする層を明確にすることが大切です。

また、リハビリや小児訪問看護などの専門分野を強化することで、利用者様の層を拡大し、収益の安定化が図れます。規模が拡大するにつれてスタッフや設備の増強が必要になりますが、バランスの取れた成長戦略が収益の安定に繋がります。

②スタッフ

訪問看護の収益には、スタッフの働き方や配置も大きく影響します。看護師や理学療法士などの人員数が十分であれば、多くの訪問件数をこなすことが可能になり、収入の増加に直結します。一方で、スタッフの採用や育成に時間とコストがかかるため、効率的なシフト管理や業務の最適化が求められます。

また、看護師が安心して働ける環境づくりや、適切な報酬体系を整えることで、離職率を抑え、安定した収益基盤を築くことができるでしょう。

③事業場所

訪問看護ステーションの立地も収益に大きく関係します。都市部では利用者様の数が多い、訪問件数が増えやすい傾向がありますが、競合が多いためサービスの質や特色をアピールする必要があります。

地方では競合が少ない一方で、移動距離が長くなるため、効率的な訪問スケジュールの組み立てが求められます。さらに、利用者様のニーズを把握し、地域密着型のサービスを展開することで、安定した収益が見込めます。

④経営力

訪問看護ステーションの経営力は、最終的な収益の成否を左右する大切なポイントです。収益管理のスキルが不足していると、いくら訪問件数が多くても利益が上がらないケースが発生します。無駄な経費の削減や、スタッフの配置最適化、利用者様の獲得戦略の強化など、経営の考え方が成功のポイントです。

さらに、地域の関係機関や医療機関との連携を深めることで、利用者様の紹介を受ける機会を増やし、収益向上に繋げることができます。

訪問看護の成功に向けた経営戦略

訪問看護の成功に向けた経営戦略

訪問看護ステーションを成功させるためには、単に利用者様を増やすだけではなく、長期的に安定した経営を維持するための戦略が不可欠です。

働きやすい環境作り

訪問看護ステーションの安定運営には、スタッフが安心して働ける環境作りが欠かせません。具体的には、業務負担を軽減するための適切なシフト管理や、看護師同士の連携を促進する仕組みが必要です。

さらに、福利厚生の充実や定期的なスキルアップ研修の実施など、スタッフのモチベーションを高める取り組みが効果的です。職場の雰囲気が良好であれば、離職率の低下にも繋がり、結果的に事業の安定につながります。

利用者様一人ひとりに合わせたケア

訪問看護では、利用者様一人ひとりの状態に合わせたケアが求められます。利用者様の生活環境や身体状況に応じたケアプランを作成し、柔軟に対応することで信頼関係を築くことができます。信頼が高まることで、口コミや紹介を通じて新たな利用者様の獲得にも繋がるでしょう。

また、利用者様やご家族とのコミュニケーションを密に行うことで、より満足度の高いサービスが提供できます。

業務効率化のシステムを導入する

訪問看護ステーションでは、日々の業務が多岐にわたるため、業務効率化を図るシステムの導入が効果的です。電子カルテシステムや訪問スケジュール管理アプリを活用することで、情報共有が円滑になり、スタッフの業務負担が軽減されます。

これにより、利用者様への対応時間を確保しつつ、無駄な業務を減らすことができます。効率化のシステムを活用することで、経営の安定化が期待できます。

開業に関する知識を深める

訪問看護ステーションの成功には、開業に関する知識の習得が欠かせません。開業に必要な手続きや法的要件、資金計画、事業計画の立て方などをしっかりと学ぶことで、リスクを最小限に抑えた経営が可能となります。

地域の医療機関や行政機関とも連携し、開業に関するアドバイスを受けるのも効果的です。開業前の準備を丁寧に行うことで、事業開始後のトラブルを防ぎ、安定した経営に繋げることができるでしょう。

まとめ

訪問看護ステーションの開業は、高まる在宅医療の需要に応える有望なビジネスですが、成功には事業計画の策定や資金管理、スタッフ配置が欠かせません。初期費用や運営費を把握し、助成金の活用や経営戦略の工夫が安定した収益に繋がります。また、安易な開業は失敗を招く恐れがあるので気をつけなければなりません。

適切な準備と経営の考え方を学び、訪問看護事業の成功を目指しましょう。UPDATEでは、訪問看護ステーションの立ち上げ支援も実施しています。皆様が理想の事業所開設に向け、大事な一歩を踏み出されることを支援させていただきます。是非お気軽にお問い合わせください。

小瀨文彰プロフィール写真(株式会社UPDATE 代表取締役)
株式会社UPDATE 小瀨 文彰
株式会社UPDATE 代表取締役(看護師・保健師・MBA) ケアプロ訪問看護ステーション東京にて新卒訪問看護師としてキャリアスタート。その後、訪問看護の現場・マネジメント経験の他、薬局や訪問看護運営するスタートアップ企業で40拠点・年商65億規模の経営を行い上場企業へのグループインを実現。現在は医療職マネジメント人財を育成するためマネジメントスクールを運営中。