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訪問看護でマナーはなぜ必要?理由や気を付けるべきポイントを解説

訪問介護 マナー

訪問看護では、利用者様の自宅であるプライベートな空間でケアを提供するため、病院や施設とは異なり、細やかな配慮が求められます。適切なマナーを身につけることで、利用者様との信頼関係が深まり、より良いサービスにつながるでしょう。

一方で、マナーが欠けていると、利用者様の不安を招き、トラブルの原因になりかねません。訪問看護ステーションの管理者や経営者にとって、スタッフのマナー教育は事業の質を左右する大切な要素です。本記事では、訪問看護のマナーの必要性と、実践すべきポイントを解説します。

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訪問看護においてマナーが必要な理由

訪問看護においてマナーが必要な理由

訪問看護では、利用者様の生活空間に直接関わるため、マナーの徹底が求められます。病院や施設とは異なり、利用者様ごとに環境や価値観が異なるため、適切なマナーがなければ、誤解や不安を招くことになりかねません。ここでは、訪問看護のマナーの必要性を具体的に3つの観点から解説します。

利用者様の尊厳を守るため

訪問看護では、利用者様の自宅というプライベートな空間に入るため、尊厳を守る配慮が不可欠です。利用者様の生活リズムや習慣に適応し、必要以上に踏み込みすぎないことが大切です。無断で私物に触れたり、家族の会話に割り込んだりする行動は避けるべきでしょう。

また、利用者様が自分らしく過ごせるよう、言葉遣いや態度にも注意が必要です。当然ですが、過度に幼児扱いをしたり、馴れ馴れしい態度を取ったりすると、不快に感じることがあります。適切な敬語を使いながらも、温かみのある対応を心がけることが重要です。

利用者様・ご家族との信頼関係を築くため

訪問看護において、利用者様やそのご家族との信頼関係は、サービスの質に影響を与える重要な要素です。信頼関係がなければ、利用者様が本音を話せず、適切なケアの提供が難しくなる可能性があります。

体調の変化を感じていても、訪問看護師への信頼がなければ伝えられず、症状が悪化することがあります。場合によっては、訪問を断られることもあります。一方で、普段からマナーを意識し、適切な言葉遣いや配慮のある行動を心がけることで、利用者様やご家族も安心してケアを受けることができます。

そのため、利用者様とご家族の信頼を得るためには、誠実な対応と丁寧なコミュニケーションを徹底することが不可欠です。

トラブルを防ぐため

訪問看護では、利用者様の自宅という限られた空間でケアを行うため、些細な言動がトラブルにつながることがあります。特に、家族構成や生活習慣、宗教的な価値観に関する配慮が欠けると、不信感を招く可能性があります。

利用者様の家族の前で不適切な発言をすれば、信頼関係に亀裂が生じる可能性もあるでしょう。また、訪問時間を守らず、遅刻や早すぎる訪問を繰り返すと、利用者様やご家族に負担をかけることにつながります。

トラブルを未然に防ぐためには、スタッフのマナー教育を徹底し、細部まで配慮することが求められます。

関連記事:訪問看護で求められるスキルとは?経験者が直面する課題について解説

身だしなみのマナー

訪問看護では、清潔感のある身だしなみが求められます。利用者様の自宅であるプライベートな空間に入る以上、第一印象がその後の信頼関係に大きく影響を与えます。ここでは、訪問看護において気を付けるべき身だしなみのポイントを解説します。

清潔感のある服装

訪問看護では、機能性と清潔感を両立させた服装が求められます。ユニフォームを着用する場合は、常に清潔な状態を維持し、汚れがないように注意しましょう。

また、個人で用意した服で訪問する場合には、華美なデザインや派手な色の服装は避け、落ち着いた色合いのものを選ぶことが望ましいでしょう。利用者様やそのご家族に違和感を抱かせないよう、無駄な装飾の少ないシンプルな服装が適しています。

清潔感のあるメイク・整髪

身だしなみの一環として、メイクや髪型にも配慮が必要です。利用者様と直接顔を合わせる仕事であるため、だらしない印象を与えないよう、適度なメイクや整髪を心がけることが求められます。

例えば、濃いアイメイクや派手なリップカラーは避け、ナチュラルメイクを意識すると良いでしょう。化粧をすることで健康的な印象を与えることができるため、適度に整えることが望ましいです。

また、髪型も顔がはっきりと見えるように整えることが大切です。例えば、長い髪をそのままにしていると、利用者様のケアを行う際に邪魔になったり、不衛生に見えたりすることがあるため、髪が長い場合は束ねて清潔感を保つと良いでしょう。

自然な香り

訪問看護では、香りにも注意を払うことが必要です。利用者様の中には、強い香りに敏感な方や、化学物質過敏症を持っている方もいるため、不快感を与えないよう配慮が求められます。

香水や整髪料の香りが強すぎると、利用者様が気分を悪くする可能性があります。また、衣服に染み付いたタバコや食べ物の臭いも不快に感じる要因となるため、訪問前には衣類の臭いをチェックし、必要に応じて消臭スプレーを使用することが望ましいでしょう。

言葉遣い・挨拶のマナー

言葉遣い・挨拶のマナー

訪問看護において、適切な言葉遣いや挨拶は信頼関係を築く基本です。利用者様の自宅であるプライベートな空間にお邪魔する以上、丁寧な言葉遣いを心がけることは欠かせません。ここでは、訪問看護の現場で意識すべき言葉遣いや挨拶のポイントを解説します。

敬語を使う

訪問看護の現場では、利用者様に敬意を払った言葉遣いを徹底することが必要です。親しみやすさを大切にするあまり、フランクな話し方になると、利用者様に失礼にあたる可能性があります。

特に、年配の利用者様に対しては、敬語の使い方が印象を大きく左右します。適度な距離感を保ちつつ、敬意を込めた言葉遣いを徹底することで、利用者様の信頼を得やすくなるでしょう。

丁寧な言葉遣いを心掛ける

敬語を使うことはもちろんですが、話し方全体においても丁寧さを意識することが大切です。利用者様との会話では、無意識のうちに失礼な表現をしてしまうことがないように注意しましょう。

例えば、短く端的に話すことを意識しすぎると、冷たい印象を与えてしまうことがあります。利用者様が安心できるよう、ゆったりとした口調で、柔らかい表現を使うことが望ましいでしょう。

また、利用者様の体調や状況に応じて、適切な言葉選びをすることも大切です。例えば、病状に関する説明を行う際には、専門用語を多用せず、利用者様が理解しやすい言葉に言い換える配慮が求められます。

訪問時・退出時に必ず挨拶する

訪問看護では、訪問時と退出時の挨拶が大切な役割を果たします。訪問時の挨拶は、利用者様に安心感を与える第一歩となり、退出時の挨拶は、その日の訪問が気持ちよく終わるかどうかを決めるポイントとなります。

例えば、訪問時には、「こんにちは、本日もよろしくお願いします」と笑顔で伝えることで、利用者様がリラックスしやすくなります。一方、無言で入室したり、ぶっきらぼうな挨拶をしたりすると、利用者様に不信感を与えてしまう可能性があります。

退出時には、「本日はありがとうございました。次回もよろしくお願いします」と伝えることで、利用者様が安心して次回の訪問を待つことができます。

適切なボリュームで話す

訪問看護の現場では、話す声のボリュームにも注意が必要です。利用者様が聞き取りやすい声で話すことはもちろん、周囲の環境や状況に応じて適切な音量を調整することが欠かせません。

例えば、耳が遠い利用者様に対しては、少し大きめの声で、はっきりと話すことが大切です。一方で、大きな声で話しすぎると、威圧的な印象を与えてしまうこともあります。適度な音量を保ち、ゆっくりと話すことで、よりスムーズなコミュニケーションが可能です。

訪問時のマナー

訪問看護では、利用者様の自宅であるプライベートな空間に入るため、訪問時のマナーが特に大切になります。病院や施設とは異なり、利用者様ごとに生活環境や価値観が異なるため、些細な言動が信頼関係を左右することもあります。ここでは、訪問看護において意識すべき訪問時のマナーを解説します。

靴を揃える

訪問時には、靴の扱いにも気を配ることが大切です。利用者様の自宅に入る際、玄関で靴を脱ぐことが一般的ですが、適当に脱ぎ散らかすのではなく、揃えて置くことで、利用者様に対する礼儀を示すことができるでしょう。

玄関の隅に揃えて置くことで、利用者様やご家族が通る際の邪魔にならず、清潔感のある印象を与えます。逆に、脱ぎっぱなしにしたり、靴の向きをバラバラにしてしまったりすると、訪問看護師の印象が悪くなり、信頼関係の構築が難しくなる可能性があります。

バッグや上着は床に置く

訪問看護では、持ち物の扱いにも注意が必要です。利用者様の自宅は生活空間であり、病院のように専用のスタッフルームや荷物置き場があるわけではありません。そのため、バッグや上着をどこに置くかは、慎重に考えるべきポイントとなります。

例えば、ソファやテーブルの上に無断で置くのではなく、「こちらに置かせていただいてもよろしいでしょうか?」と一言確認することが大切です。特に、食卓やベッドの上に置くことは、不衛生な印象を与える可能性があるため避けたほうが良いでしょう。

利用者様宅の設備や私物を使う場合は声をかける

訪問看護では、利用者様宅の物を無断で使わないことが基本のマナーです。病院や施設では、業務のために必要な設備が整えられていますが、訪問看護では、利用者様の自宅の設備や私物を借りることがあるため、慎重な対応が求められます。

手を洗う際に洗面所を使う場合、勝手に水を出すのではなく、「手を洗わせていただいてもよろしいでしょうか?」と一言確認することが必要です。また、ケアの過程でタオルやティッシュを使用する場面があるかもしれませんが、その際も利用者様やご家族に了承を得るようにしましょう。また使用したあとは元通りの場所に戻すことも重要です。

下座に座る

訪問時には、座る位置にも気を配る必要があります。利用者様宅では、訪問看護師は「お客様」ではなく、あくまで「ケアを提供する立場」として訪問しているため、適切な場所に座ることが求められます。

例えば、リビングに案内された際に、利用者様やご家族よりも上座に座ることは避け、下座に座るのが基本です。細かく気にされない方や逆に上座などに案内していただくご家族もいらっしゃいますので、ケースバイケースの対応が求められますが、何も気にせずお客様感覚で自宅にあがっていくことは避けましょう。

訪問看護におけるマナーのポイント

訪問看護におけるマナーのポイント

訪問看護では、利用者様に適切なケアを提供するだけでなく、信頼関係を築き、安心してもらえる環境を整えることが求められます。そのためには、訪問時の基本的なマナーを守ることはもちろん、より深い部分での配慮が必要です。ここでは、訪問看護の現場で特に意識すべきマナーのポイントを解説します。

プライバシーに配慮する

訪問看護では、利用者様のプライバシーを尊重することが不可欠です。利用者様の自宅は生活空間であり、家族構成や個人的な事情があるため、過度に踏み込まない姿勢を持つことが求められます。

例えば、利用者様のご家族が同席している場面で、健康状態を詳しく話す際には、事前に利用者様の意向を確認することが大切です。プライバシーに関わる情報を家族の前で話してよいかどうかは、利用者様によって異なるため、一律に判断せず、その都度確認することが望ましいでしょう。

時間を守る

訪問看護では、時間厳守が欠かせません。利用者様は訪問時間を前提にスケジュールを調整しているため、遅刻や早すぎる訪問は負担をかける可能性があります。訪問予定時間よりも早く到着した場合でも、そのまま訪問せず、時間まで待機することが望ましいでしょう。

予定よりも早く訪問すると、利用者様が準備できていない状態で対応を迫られることになり、かえってストレスを与えることになりかねません。また、訪問時間内で業務を効率的に進め、無駄な時間を取らせないことも配慮すべき点です。利用者様の状況に応じて、必要なケアを的確に提供し、終了時間を厳守することで、信頼を得ることにつながります。

提供されたものを受け取らない

訪問看護の現場では、利用者様やご家族から飲み物や食べ物を勧められることがあります。しかし、基本的に提供されたものは受け取らないことがマナーとされています。

例えば、「お茶でもどうですか?」と勧められた場合、好意として受け取りたくなることもありますが、公私の区別を明確にするためにも「お気持ちだけいただきます」と丁寧に辞退することが望ましいでしょう。

ただし、利用者様が強く勧めてくる場合や、断ることで関係性が悪化しそうな場合には、適切な判断が求められます。そのような状況では、「訪問中はいただかない決まりになっておりますが、お気遣いありがとうございます」と伝えることで、角を立てずに辞退できるでしょう。

定期的にマナーを振り返る

マナーは行っている本人は不適切な対応を行っていることに気がついていないケースが多く、また人によってこれまでの経験や教育などによって考え方が分かれるものであります。そのため、訪問看護ステーションとしてマナーを統一するには、同行訪問時にマナーについてフィードバックし合ったり、利用者様やご家族からのご意見やクレームが合った際に、事業所全体でステーションとしての対応の基準を創っていくことが重要です。

関連記事:看護師を成長させる効果的なフィードバックとは?

まとめ

訪問看護のマナーは、単なる礼儀ではなく信頼関係を築き、円滑なサービス提供を実現するために欠かせない要素です。身だしなみや言葉遣い、訪問時の振る舞いに細心の注意を払うことで、利用者様に安心感を提供でき、事業の評価向上にもつながります。

また、プライバシーへの配慮や時間厳守など、細部にわたるマナーの徹底が、質の高い訪問看護を支える要素となるでしょう。

UPDATEでは、訪問看護の実践的な組織運営を学べる「訪問看護マネジメントスクール」や「企業内研修」を提供しております。経営マネジメントに関するお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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小瀨文彰プロフィール写真(株式会社UPDATE 代表取締役)
株式会社UPDATE 小瀨 文彰
株式会社UPDATE 代表取締役(看護師・保健師・MBA) ケアプロ訪問看護ステーション東京にて新卒訪問看護師としてキャリアスタート。その後、訪問看護の現場・マネジメント経験の他、薬局や訪問看護運営するスタートアップ企業で40拠点・年商65億規模の経営を行い上場企業へのグループインを実現。現在は医療職マネジメント人財を育成するためマネジメントスクールを運営中。