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訪問看護の職務経歴書|書き方と例文整理

訪問看護職務経歴書

訪問看護の現場では、看護師の経験やスキルだけでなく、どのようにそれを伝えるかも重要視されます。特に職務経歴書は、自分の価値を的確に表現し、採用担当者に印象づける大切な書類です。しかし、病棟とは異なる訪問看護ならではのアピール方法に悩む方も多いのではないでしょうか。

本記事では、訪問看護の職務経歴書作成から面接・入職後のフォローまでを徹底解説。経験別の記載例や準備手順を交えながら、選考を突破するための実践的な考え方を紹介します。

訪問看護の職務経歴書の役割と重要性

訪問看護の職務経歴書の役割と重要性

訪問看護に転職する際、職務経歴書は単なる職歴の羅列ではなく、実務力と人柄を伝える重要な情報源となります。履歴書が経歴の骨格を示すものであるのに対し、職務経歴書は具体的な経験・成果・スキルを深掘りし、応募者がどのような看護を提供してきたのかを伝える役割を担います。特に訪問看護では、個別対応力や判断力、チーム連携など多面的な能力が求められるため、その背景にある経験を丁寧に記述することが重要です。

採用担当が職務経歴書で確認する三要素

採用担当者が職務経歴書でまず確認するのは、①経験してきた職種や業務内容②得意な分野や実績③転職理由や応募の背景、の3点です。病棟経験、外来勤務、訪問看護など、どの領域でどのような支援をしてきたのかを明確に示し、特に訪問看護にどうつながるかを説明できる構成が求められます。

また、キャリアの中で得たスキルや成果は、簡潔でありながら具体性を持って記述することが好印象につながります。

訪問看護特有の評価ポイントとは

訪問看護では、採用側が重視する評価ポイントに独自の視点があります。代表的なものとしては、①一人での判断力と観察力②利用者様とご家族との信頼構築力③地域での多職種連携経験、が挙げられます。

特に、訪問看護では単独での対応が基本となるため、状況把握や緊急時の行動力を職務経歴書に反映することがポイントです。たとえば、「オンコール対応経験」「認知症の利用者様への個別対応」など、具体的なキーワードを記載すると訪問看護への適性を伝えやすくなります。

履歴書との違いと情報補完の考え方

履歴書はフォーマットが定型化されており、学歴や職歴を簡潔に記載する構造である一方、職務経歴書は自由記述形式で、経歴の裏側にある思考や行動、成果を詳述できる媒体です。

職務経歴書では、履歴書に書ききれなかった内容や、数字での実績、改善提案の取り組みなどを補足的に記載し、応募先の採用要件に即したアピールが可能です。職務経歴書が履歴書の補完ではなく、戦略的な自己プレゼンテーションの場であることを理解し、構成の工夫と情報精度が問われます。

作成前に整理すべき情報と準備手順

訪問看護の職務経歴書を作成する際には、書き始める前の「情報整理」が成果を大きく左右します。自身の経験を採用担当者に伝わる形で言語化するためには、具体性と客観性が求められます。以下の3つの視点で、準備を進めておくと職務経歴書の完成度が高まります。

経歴棚卸シートで実績を可視化する方法

まず取り組むべきは、過去の経験や役割を棚卸しすることです。訪問件数や対応してきた疾患、使用した什器、オンコール体制の有無などを「経歴棚卸しシート」として整理すると、抜け漏れなく実績を言語化できます。箇条書きで記録を残しておくことで、後の職務経歴欄の記載がスムーズになります。

利用者様支援成果を数値化する視点

次に意識すべきは、利用者様への支援内容をできるだけ数値で示す視点です。たとえば「1日4~5件の訪問を週5日担当」「看取り支援を月に2件経験」など、成果を定量的に記すことで、具体性が増し採用側の評価材料になります。単に業務内容を書くのではなく「どれくらいの規模・頻度か」を意識しましょう。

地域連携や多職種協働経験の抽出手順

最後に、多職種との連携経験も見落とさず整理することが大切です。医師やケアマネージャー、リハビリスタッフなどとどのように情報共有を行っていたか、また緊急時の対応体制やICT記録の使用状況なども含めて書き出しましょう。訪問看護における自主性と連携力の両立を示すための基礎資料になります。

基本構成と項目別記載ポイント

基本構成と項目別記載ポイント

訪問看護における職務経歴書は、形式的な整備だけでなく、項目ごとの表現力が選考結果に直結します。採用担当者の目に留まる構成を意識し、各項目において“伝わる工夫”を凝らすことが大切です。以下では、訪問看護に特化した職務経歴書で特に押さえるべき5つの項目について解説します。

タイトル/日付/氏名欄で印象を高める工夫

職務経歴書の冒頭にある「職務経歴書」というタイトル、提出日、氏名は、見落とされがちですが信頼感に直結する要素です。中央に太字で「職務経歴書」と記載し、右上に提出日とフルネームを明記します。

日付には「〇年〇月〇日 現在」と記載し、最新の日付に更新することで、使い回しではないことが伝わります。こうした小さな配慮が、書類全体への誠実な姿勢として評価されるため、第一印象を整える意味でも重要です。

職務要約作成で全体像を簡潔に示す方法

職務要約は、訪問看護師としてのキャリアを短く要点を押さえて伝える部分です。勤務施設や在籍年数、対応してきた疾患や訪問件数の目安など、簡潔に記載します。たとえば「〇〇訪問看護ステーションで3年間勤務し、ターミナル期の利用者様支援を主に担当。

オンコール対応や書類作成も経験」と記すことで、全体像を短時間で把握してもらえます。長く書く必要はなく、箇条書きに近い形式で一文一意を意識しましょう。

職務経歴欄でしっかり書くべきケアの経験内容

職務経歴欄は、訪問看護の経験を最も詳細に示す重要な項目です。勤務先の名称・規模・雇用形態とともに、具体的なケア経験を時系列に沿って記述します。

たとえば「1日5件前後の訪問」「吸引や褥瘡管理などの医療的ケア」「利用者様・ご家族とのコミュニケーション」「ケアマネジャーとの連携」などを箇条書きで明記すると、読みやすくかつ印象に残りやすくなります。採用側が求めるスキルとの接点を意識しましょう。

資格研修欄で差別化する専門スキル記載

訪問看護では、看護師免許に加え、訪問看護認定資格や運転免許、各種研修受講歴も評価対象になります。資格欄では、正式名称と取得年月を明記し、履歴書との矛盾がないよう注意します。

「2025年4月 訪問看護認定看護師取得予定」といった記載も有効です。加えて、感染管理・ターミナルケア・緊急対応など、訪問看護に直結するテーマの研修歴を補足すれば、専門性と学習意欲が伝わり、差別化につながります。

自己PR欄で信頼感を高めるエピソード選定

自己PRでは、訪問看護で求められる資質である「信頼関係構築力」「判断力」「連携力」などを、自身の経験と結び付けて表現します。

たとえば「ターミナル期の利用者様が穏やかに過ごせるよう、ご家族と密にコミュニケーションを取り、看取りに伴走した経験」などの具体例を交えることで説得力が増します。エピソードは1つに絞り、過不足なく300文字程度にまとめると、採用担当者に負担をかけず印象を残すことができます。

【経験別】訪問看護職務経歴書の例文

訪問看護への転職では、これまでの経験や強みを“どのように伝えるか”が非常に重要です。採用担当者は、単なる業務内容だけでなく「その経験から何を学び、どう活かしたいのか」を重視しています。ここでは【病棟→訪問看護】【訪問看護→管理職】【ブランク復帰】の3タイプに分けて例文を紹介し、あわせて“経験が伝わる記載ポイント”も解説します。

病棟経験者が訪問看護へ転身する例文

例文

20XX年〇月より総合病院の急性期病棟に勤務し、6年間にわたり医療的ケア・家族支援・多職種との連携を実践してきました。急変対応や術後管理など、状態変化の大きな利用者様への関わりを通じ、観察力と判断力を高めてきました。退院支援やカンファレンスを通じて、在宅生活の支援の重要性を実感し、訪問看護への関心が高まりました。

経験をしっかり伝えるポイント

・訪問看護に活かせる臨床経験の具体性(配属科・疾患・ケア内容)を示す

・「なぜ訪問看護を目指したのか」**という転身理由を丁寧に記載

急性期→在宅への視点の変化や気づきを入れると説得力が増します。

訪問看護経験者が管理職を目指す例文

例文

訪問看護ステーションにて5年間勤務し、ターミナル期の支援や医療保険・介護保険のケースを含む幅広い利用者様に対応してきました。書類作成やICT記録の整備に加え、後輩看護師の育成やOJT対応にも携わっており、マネジメント業務にも責任をもって取り組んでいます。現場の視点を持ちながら、チーム全体の質を高めることに挑戦したいと考えています。

経験をしっかり伝えるポイント

・訪問件数・利用者層・対応疾患などの業務スケール感を記載

・後輩指導・リーダー経験など管理業務の実績を明文化

スキルだけでなく「チーム運営」への貢献意欲を含めると印象が強まります。

ブランク明け看護師が地域で再挑戦する例文

例文

病棟勤務後、出産・育児により一時的に現場を離れていましたが、復職に向けて定期的な看護研修やオンライン学習を行い、感染対策や医療的ケアの知識を更新しています。地域での生活支援に貢献したいという思いから、訪問看護という形で再び利用者様に寄り添う看護を提供したいと考えています。

経験をしっかり伝えるポイント

・ブランク期間の取り組みや研修内容を明記し、意欲と実践力を示す

・育児・家庭との両立を強調するのではなく、再挑戦の動機や地域貢献への姿勢にフォーカス

「できること」だけでなく「再び挑みたい理由」をしっかり表現しましょう。

提出後の面接対策とフォローアップ

提出後の面接対策とフォローアップ

職務経歴書を提出したあとは、書類通過後の「面接・見学・入職後対応」までを見据えた準備が欠かせません。訪問看護では一人ひとりの経験や姿勢が重視されるため、受け答えの質や姿勢によって評価が大きく左右されます。ここでは、選考通過後に押さえるべき3つの行動ポイントを紹介します。

職務経歴深掘り質問への回答準備

面接では、提出した職務経歴書の内容をもとに具体的な質問がされることが一般的です。「〇〇の業務では、どのような工夫をしていましたか?」「その場面で何を学びましたか?」といった深掘りが入るため、記載内容に対する振り返りと補足が必要です。

職務要約やケア実績の部分は、必ず具体的なエピソードを1〜2つ用意しておくと説得力が高まります。また、転職理由や志望動機と整合性が取れているかも確認しておくと安心です。

見学同行時に経歴書内容を活かすポイント

訪問看護では、面接後に現場見学や訪問同行の機会が設けられることもあります。この際は、経歴書の内容が実際の行動と一致しているかが見られます。たとえば「コミュニケーションに自信がある」と記載していた場合、利用者様やスタッフとの関わり方に自然な配慮が求められます。

また、ステーションの雰囲気や方針に対する理解度を示すために、事前に理念や業務範囲を調べておき、「御ステーションでは〇〇に力を入れていると伺いました」といった一言を添えると、意欲の高さが伝わります。

入職後フォロー面談でキャリア目標を共有する方法

入職後、一定期間を経て行われるフォロー面談では、今後のキャリアについての意向確認が行われることがあります。ここでは、短期・中期・長期それぞれの目標を持っておくことが効果的です。

たとえば「まずは1人での訪問に自信を持てるようになる」「次年度には新人教育にも関わりたい」といった段階的なステップを用意することで、意欲と主体性のある印象を与えられます。ステーション側も人材育成や配置を検討しやすくなるため、結果として希望に近い働き方が叶いやすくなります。

まとめ

訪問看護の転職を成功させるには、職務経歴書で自分の経験を正しく伝え、面接や同行訪問で一貫性ある受け答えができるかが鍵となります。本記事では、作成前の情報整理から記載の工夫、提出後の対策までを段階的に解説しました。経験別の例文や回答の視点もぜひ参考にしてみてください。

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小瀨文彰プロフィール写真(株式会社UPDATE 代表取締役)
株式会社UPDATE 小瀨 文彰
株式会社UPDATE 代表取締役(看護師・保健師・MBA) ケアプロ訪問看護ステーション東京にて新卒訪問看護師としてキャリアスタート。その後、訪問看護の現場・マネジメント経験の他、薬局や訪問看護運営するスタートアップ企業で40拠点・年商65億規模の経営を行い上場企業へのグループインを実現。現在は医療職マネジメント人財を育成するためマネジメントスクールを運営中。