効果的にチームを動かすマネジメントとは?訪問看護マネジメントにおける指示出しをのコツを解説

訪問看護ステーションを運営するなかで、メンバーに業務を任せられずに業務を一人で抱え込んでしまうマネージャーは少なくないでしょう。「なぜメンバーが主体的に動いてくれないのだろう?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
この記事では、そんなマネージャーの悩みを解決するべく、効果的にチームを動かすためのマネジメントについて解説するとともに、メンバーへの指示出しのコツも紹介しています。訪問看護マネジメントを円滑にするための一助となれば幸いです。

目次
訪問看護で業務を抱え込みがちな管理者・経営者

訪問看護の管理者や経営者によくある困りごととして、業務を一人で抱え込んでしまうことが挙げられます。訪問看護事業所を運営するなかで、以下のような悩みを感じることはありませんか?
- 指示を出さないとメンバーが動いてくれない
- 仕事を任せられるメンバーがいない
- メンバーに任せてみたとしても、望んでいる基準に達しておらず、マネージャーがやり直すことが多い
- メンバーに任せず、マネージャーが自分でやった方が早いと思ってしまう
- メンバーに指示を出しても、やってないことが多い
これらの理由から、メンバーに仕事を振り分けられず、一人で抱え込んでしまう管理者や経営者は少なくないでしょう。質の高い仕事ができ、責任感が強いマネージャーほど、業務をメンバーに任せられずに疲弊してしまうことがあります。
なぜメンバーが主体的に動かないのか?

メンバーが主体的に動かないのはどうしてでしょうか?もちろん各メンバーに問題があるケースもありますが、実はマネジメントに問題がある場合が少なくありません。メンバーが悪いと他責にせず、メンバーが主体的に動きやすい環境を作ることが重要です。
ここでは、メンバーが感じている動きにくさに目を向けてみましょう。また、メンバーが主体的に動きやすい環境作りのポイントについて解説します。
メンバーが感じている動きにくさ
メンバーは主体的に動かないのではなく、動けない・動きにくいと感じている場合があります。メンバーは、以下の悩みを抱えていることがあります。
- マネージャーから主体的に動いてほしいと言われても、何をしてよいかわからない
- マネージャーが忙しそうなので手伝いたいが、何を手伝ってよいかわからない
- 業務を割り振ってもらえたのはよいが、内容が漠然とし過ぎている
- サボることを許される人がいて、真面目に動く人に仕事が偏っている
メンバーはこれらの思いを抱え、主体的に動きにくいと感じている可能性もあるでしょう。
「メンバーの主体性がない」と他責にしない
メンバーが主体的に動いていない場合に、マネージャーが「メンバーの主体性がないせいだ」と決めつけてしまっては、事業運営の改善につながりません。誰か一人のせいであると考えるのではなく、チームで成果を出すために組織全体が改善することを考えましょう。
メンバーの視点に立ち、主体的に動けない理由を考え、マネージャーがアクションを起こす必要があります。
メンバーが主体的に動きやすい環境作り
マネージャーは、メンバーが主体的に動きやすい環境を整えることが重要です。そのためには、メンバーが動かない・動けない原因を具体的に考え、対策を練る必要があります。次の章から、メンバーが主体的に動きやすい環境作りについて解説します。
訪問看護事業所で効果的にチームを動かすマネジメント

訪問看護事業所を運営するなかで、効果的にチームを動かすには、メンバーが主体的に動きやすい環境を整えることが重要です。
メンバーが主体的に動かない・動けない原因は大きく分けて2つ挙げられます。「共通目的&具体的なゴールの不在」と「漠然としたアクションプラン」です。これらの対策として、以下の3つが有効です。
- 共通目的(ゴール)を明確に示す
- ギャップとやるべきことを明確にする
- 役割分担・期限・進め方を明確にする
それぞれについて詳しく解説します。
共通目的(ゴール)を明確に示す
組織は共通の目的を達成するために存在しています。共通目的がない状態では、組織より個人を優先し、一体感のない組織を生みやすくなります。
そのためマネージャーの役割として、組織における共同体としての目標を掲げ、その目標を基準に意思決定・行動が取れる組織を創ることが重要です。組織としての大方針と具体的なゴールの両方が、組織内でバランス良く語られるのが望ましいでしょう。
また、共通目的はマネージャーの心の拠り所になる側面もあります。何のためにマネジメントを行っているのかが明確になれば、様々なプレッシャーに晒されても、強い信念を持って仕事に臨めるでしょう。
ギャップとやるべきことを明確にする
具体的なゴールを明らかにしたら、現在地からの距離を把握し、いつまでにゴールに辿り着けばよいかを考えることが重要です。期限までにゴールに到達することを考えた時、現時点でどの程度のギャップがあるのかを定期的に確認し、やるべきことを明確にします。
組織のゴールを決める際には、マネージャーが責任を持って決定するのが望ましいですが、
ゴールまでにやるべきこと・達成のための進め方は、メンバーと一緒に考えることが重要です。
メンバーへの指示出しのポイント
ギャップやプロセスを明確にし、メンバーへの指示を出す際のポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- メンバーが影響を及ぼせる範囲の目標を掲げる(例:訪問単価ではなく、訪問件数を考える)
- メンバーが理解しやすい内容にする(例:売上ではなく、訪問件数を考える)
- 結果を評価できる具体的な内容にする
- 意図・意味・背景の共通認識を持つ
- ステップと達成期日の共通認識を持つ
- 役割分担・期限・進め方を明確にする
これらを意識してメンバーに指示を出せば、マネージャーにとってもメンバーにとっても無理なく業務を遂行し、目標達成に近づけるでしょう。
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環境と人財に合わせたマネジメント
環境やメンバーに合わせたマネジメントを考える際、よくある意見として、次の2つに分かれるでしょう。「メンバーを信頼して、任せた方がよい」という意見と「しっかりフォローして支えた方がよい」という意見です。どちらが適切かは、環境とメンバーの状況によって異なります。
ここでは、環境や人財に合わせたマネジメントの考え方の一つである、パスゴール理論について解説します。
4つのリーダーシップの型を使い分ける「パスゴール理論」
パスゴール理論という考え方について、馴染みがない方もいるかもしれません。パスゴール理論とは、環境とメンバーの状況に応じて、4つのリーダーシップの型を使い分けるマネジメント手法のことです。
業務の難易度と、メンバーの能力や経験を2つの軸と考え、それらを高い・低いに分けると4象限に分類できます。パスゴール理論では、これらを4つのリーダーシップの型と考え、環境と人財に合わせてリーダーシップの型を柔軟に変化させます。
例えば、能力の高いベテランのメンバーなら、普段の業務においてマネージャーによる細やかなサポートは不要でしょう。一方で、能力の高いベテランのナースであったとしても、ミスが許されない業務や複雑な業務であれば、マネージャーが細やかなサポートをする必要があります。
任せきり・過度な支援にならない関わり
マネージャーがメンバーを信頼し主体性を重んじるあまり、放任になってしまうことに注意が必要です。実際にはメンバーが思うように動けておらず、成果を達成できない可能性があります。
一方でマネージャーが細かい介入をしすぎると、メンバーがやる気をなくしたり、メンバーの主体的に考える力が育ちにくくなったりする恐れがあります。マネージャーはメンバーを任せきりにせず、過度な支援にもならないような関わりを心がけることが重要です。
まとめ:メンバーが主体的に動きやすい環境作り

この記事では、効果的にチームを動かすマネジメント・メンバーへの指示出しのコツについて解説してきました。
効果的にチームを動かすためのポイントは、大方針と具体的なゴールの両方を意識して、達成に向けてやるべき業務を組織全体で明確にすることです。メンバーとの関わりにおいては、パスゴール理論を活用し、環境や人財に合わせたリーダーシップを発揮することが重要です。
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