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特別訪問看護指示書とは?退院直後の発行の場合いつまでが指示期間?

特別訪問看護指示書 退院直後 いつまで

訪問看護ステーションを運営する管理者や経営者にとって、特別訪問看護指示書の正しい理解と活用は、適切な訪問看護サービスを提供するうえで欠かせません。特に、退院直後や急性増悪時など、短期間に集中的なケアが求められるケースでは、この指示書を適切に活用することで、利用者様への支援の質やサービスの質を高めることができます。

本記事では、特別訪問看護指示書の概要、発行条件、適用期間、医療保険との関係を詳しく解説します。制度の仕組みを理解し、効率的な運営に活かしたい管理者の方は、ぜひ参考にしてください。

関連記事:特別訪問看護指示書とは?発行条件など特別訪問看護指示書の基礎知識・注意点を徹底解説

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特別訪問看護指示書とは

特別訪問看護指示書とは

特別訪問看護指示書とは、退院直後の利用者様が安心して在宅療養へ移行できるよう、医師の指示のもと発行される訪問看護指示書です。退院後は体調が不安定になりやすく、適切なケアを受けることで回復をスムーズに進められるでしょう。

訪問看護を利用するには、医師が発行する「訪問看護指示書」が必要です。この指示書には「訪問看護指示書」と「特別訪問看護指示書」の2種類があり、適用条件や訪問頻度が異なります。ここでは、それぞれの違いを詳しく解説していきます。

訪問看護指示書との違い

訪問看護指示書と特別訪問看護指示書は、どちらも医師の指示に基づいて訪問看護を受けるための書類ですが、適用される状況や訪問回数に違いがあります。訪問看護指示書は、慢性的な疾患や障害を持つ利用者様が定期的に訪問看護を受けるために発行されます。週に3回の訪問が基本となり、安定した療養生活を支えることを目的としています。

一方、特別訪問看護指示書は、退院直後の利用者様を対象に、短期間で集中的な看護を提供するために発行されます。通常の訪問看護指示書よりも柔軟な対応が可能で、1日に複数回の訪問や90分を超える長時間のケアが認められるのが大きな特徴とされるでしょう。

この制度があることで、在宅療養の初期段階でも適切な看護を受けやすくなり、利用者様の回復を支える役割を果たします。このように、特別訪問看護指示書は、退院直後の不安定な時期に手厚いサポートを提供し、円滑な在宅療養への移行を助ける仕組みとなります。

参考:厚生労働省 訪問看護のしくみ

特別訪問看護指示書の交付条件は退院直後?

特別訪問看護指示書は、すべての利用者様に発行されるわけではなく、特定の条件を満たした場合にのみ交付されます。この指示書は、訪問看護指示書がすでに交付されている方が対象となり、以下のいずれかの条件に該当し、「週4日以上の訪問看護が必要」と主治医が判断した場合に限り発行されます。

急性感染症等の急性増悪時

病状が急激に悪化し、短期間での集中的な訪問看護が必要とされる場合に発行されます。例えば、高熱を伴う感染症や、慢性疾患の急性増悪によって日常生活に支障が出るケースなどが該当します。

末期の悪性腫瘍等以外の終末期

がん以外の疾患で終末期にある場合も、特別訪問看護指示書の対象となります。神経難病や重度の心不全などで、医療的なケアが不可欠な状態にある方が対象となることが多いでしょう。

退院直後

病院から自宅へ戻ったばかりの利用者様は、体調が安定しないことが多く、医療的なサポートが必要になるケースが少なくありません。そのため、退院後14日間に限り、特別訪問看護指示書が発行されることで、集中的な訪問看護を受けることが可能になります。

特別訪問看護指示書の特徴

特別訪問看護指示書の特徴

特別訪問看護指示書には、通常の訪問看護指示書にはない特別な特徴があります。退院直後の利用者様が安心して在宅療養を進められるように、訪問回数や提供されるケアの内容において、柔軟な対応が可能になっています。

特に、急性期から回復期へ移行するタイミングでは、状態の変化が起こりやすく、適切な支援が必要になるでしょう。そのため、特別訪問看護指示書では、通常よりも手厚いサポートを受けられる仕組みが整えられています。

ここでは特別訪問看護指示書の特徴を詳しく解説していきます。

1日に複数回訪問できる

特別訪問看護指示書が発行されると、通常の訪問看護指示書では認められていない「1日に複数回の訪問」が可能になります。これは、退院直後の利用者様にとって大切な支援となるでしょう。退院直後は、体調が安定しないケースが多く、急な症状の変化が起こりやすい時期です。

例えば、手術後の傷の管理や、3度以上の褥瘡の処置など、こまめな対応が求められる場面は少なくありません。また、点滴やカテーテルの管理が必要な場合、1回の訪問では十分なケアを行うことが難しく、複数回の訪問によってより適切なサポートを提供することができます。

さらに、1日に複数回訪問することで、利用者様やご家族の不安を軽減する効果も期待できます。退院直後は、在宅でのケアに慣れていないことが多く、医療機関で受けていたような細やかな管理が難しくなることもあるでしょう。そのため、朝と夕方など異なる時間帯に訪問し、体調の変化を確認しながら必要なケアを提供することは、安心感につながります。

複数のステーションから訪問できる

通常の訪問看護指示書では、1つの訪問看護ステーションが訪問を担当するのが基本です。しかし、特別訪問看護指示書が発行されると、複数の訪問看護ステーションが連携して訪問を行うことが可能になります。これにより、24時間体制のケアが必要な利用者様にも、より手厚い看護を提供できるでしょう。

例えば、夜間に医療的ケアが必要な場合、1つの訪問看護ステーションだけでは対応が難しいケースも少なくありません。その際、昼間の訪問と、夜間の訪問をそれぞれ別のステーション対応するなど役割分担をすることで、無理なく継続的な訪問が可能になり、より手厚いサポートを受けやすくなるでしょう。

また、地域によっては、特定の訪問看護ステーションが特定の他ステーションと連携していることもあります。例えば、がんの終末期ケアに特化したステーションや、呼吸器疾患の管理に強いステーションなどが挙げられます。特別訪問看護指示書を活用することで、こうした専門的な看護が必要な場合でも、最適なステーションを組み合わせることができるでしょう。

長時間訪問が可能になる

医療保険、介護保険どちらの場合でも、1回の利用時間は90分未満が最大です。しかし、特別訪問看護指示書を受けると、週1回まで長時間訪問看護が可能で、90分を超える訪問は長時間訪問看護加算が適用されるため、必要に応じて長時間の訪問が認められています。

例えば、膀胱留置カテーテルを使用している利用者様の場合、カテーテルの交換に加えて、清拭や皮膚トラブルのケア、排尿の確認など複数の処置を1度に行う必要があります。通常の訪問時間では対応しきれないことがあるため、長時間訪問を活用することで、必要な処置を一度に実施できるようになるでしょう。

また、神経難病の進行によって、複数の医療処置を必要とする利用者様も、長時間訪問が有効なケースの一つです。例えば、呼吸器管理が必要な方に対して、人工呼吸器の調整、痰の吸引、体位変換、経管栄養の準備と実施など、多くの医療的ケアを要する場合、長時間訪問を利用することで、これらの処置を適切なタイミングで実施することができます。

特別訪問看護指示書は退院直後いつまで?指示期間について

特別訪問看護指示書は、無期限に適用されるものではなく、一定の期間内でのみ有効です。退院直後の利用者様に対し、集中的な看護を提供するための措置であるため、指示期間が明確に定められています。この指示書を活用することで、在宅療養の初期段階に必要な支援を受けられるものの、適用期間を把握しておくことが大切でしょう。

特別訪問看護指示書の指示期間は、最長で14日間とされています。この期間が過ぎると、通常の訪問看護指示書に基づく訪問看護へと移行する必要があります。そのため、医師と訪問看護師が連携し、利用者様の体調や療養の進行状況を確認しながら、適切なケアプランを策定することが求められます。

また、特別訪問看護指示書の期間中は、医療保険の適用を受けることができますが、期間終了後は通常の訪問看護へ移行するため、サービス内容や訪問回数の調整が必要になるかもしれません。訪問看護を継続的に受けるためには、主治医と相談しながら計画的に進めることが大切です。

指示期間が月をまたぐ場合は何枚まで発行できる?

前月の特別訪問看護指示書の指示期間が月を跨いでいる場合でも、追加で最大2回まで医師の判断のもとで発行することが可能です。特別訪問看護指示書の発行上限最大2回は、発行日時点でカウントされます。

特別訪問看護指示書の注意点

特別訪問看護指示書の注意点

特別訪問看護指示書は、通常の訪問看護指示書と異なる条件のもとで発行されるため、利用する際にはいくつかの注意点があります。発行できる医師の制限や適用期間のルールを把握することで、スムーズに訪問看護を受けることができるでしょう。ここでは特別訪問看護指示書の注意点を解説していきます。

発行できるのは訪問看護指示書と同一の医師のみ

特別訪問看護指示書は、通常の訪問看護指示書を発行した同じ医師が交付する必要があります。 そのため、異なる医療機関や別の診療科の医師が発行することはできません。

例えば、訪問看護を受けている利用者様が体調を崩し、かかりつけ医ではなく基幹病院を受診し、そこで特別訪問看護指示書が必要になった場合でも、基幹病院の医師が発行することはできません。 この場合、主治医に連絡を取り、指示書を発行してもらう必要があるでしょう。

ただし、同じ医療機関内で、同一診療科に所属する複数の医師が共同で診療を行っている場合は、そのうちのいずれかの医師が訪問看護指示書を発行しても、訪問看護療養費の算定が可能です。

適用期間は最長14日間

特別訪問看護指示書の指示期間は、最長14日間と定められています。これは、退院直後や急性増悪時に集中的な訪問看護を提供し、早期に在宅療養を安定させることを目的としているためです。そのため、長期間継続して適用されるものではありません。

また、指示期間は月をまたぐことも可能です。例えば、2月21日から3月4日まで適用された後、3月5日から新たに14日間の指示書を交付することができるでしょう。この仕組みにより、必要に応じて連続して特別訪問看護を受けることが可能ですが、新たな指示書を発行するには主治医の診療が必要です。

さらに、指示と指示の間に決められた間隔はないため、指示期間終了後にすぐ再発行することもできます。ただし、無制限に継続できるわけではないため、主治医と相談しながら計画的に利用することが欠かせません。

指示期間中は医療保険が適用される

特別訪問看護指示書が適用されている間は、介護保険ではなく医療保険が適用されます。 これは、特別訪問看護指示書が医療的ケアを必要とする利用者様を対象としており、より高度な医療支援が求められるためです。

例えば、普段は介護保険を利用して訪問看護を受けている方でも、特別訪問看護指示書が発行された場合、その期間中の訪問看護は医療保険の対象となります。この切り替えによって、医療的な処置をより頻繁に受けることが可能になり、退院直後や急性増悪時の適切なケアにつながるでしょう。

指示期間が終了すると、通常の訪問看護指示書に基づく訪問看護へ移行し、介護保険の適用が再開されます。また、症状が改善し、特別訪問看護指示書の適用が不要と判断された場合には、指示期間の途中でも介護保険へ切り替わることがあります。

関連記事:訪問看護ステーションを立ち上げるには?開設に必要な手続き・準備を初心者向けに徹底解説

まとめ

特別訪問看護指示書は、退院直後や急性増悪時に必要な医療ケアを提供するため、最長14日間の範囲で発行されます。指示期間中は医療保険が適用され、通常の訪問看護指示書とは異なる条件で利用できるのが特徴です。

また、指示書を発行できるのは訪問看護指示書を交付した同じ医師のみであり、適用期間を適切に管理することが欠かせません。連続して利用することも可能ですが、主治医の診療が必要なため、計画的な活用が求められます。

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小瀨文彰プロフィール写真(株式会社UPDATE 代表取締役)
株式会社UPDATE 小瀨 文彰
株式会社UPDATE 代表取締役(看護師・保健師・MBA) ケアプロ訪問看護ステーション東京にて新卒訪問看護師としてキャリアスタート。その後、訪問看護の現場・マネジメント経験の他、薬局や訪問看護運営するスタートアップ企業で40拠点・年商65億規模の経営を行い上場企業へのグループインを実現。現在は医療職マネジメント人財を育成するためマネジメントスクールを運営中。